自衛隊法 76条(防衛出動)
内閣総理大臣は、次に掲げる事態に際して、我が国を防衛するため必要があると認める場合には、自衛隊の全部又は一部の出動を命ずることができる。この場合においては、武力攻撃事態等及び存立危機事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律(平成十五年法律第七十九号)第九条の定めるところにより、国会の承認を得なければならない。
山尾氏は、自衛権の行使に当たって国会の事前承認を明記するのに加えて、「30日、60日と期限を設けて、承認を更新する仕組みにすることも考えられる」と語る。
三浦、山尾の両氏はさらに、国会に特別の委員会を設置することを提案する。「現場では様々な問題が生じる。例えば戦場において拷問をしてしまったとか、戦場において戦術レベルでの判断ミスをしてしまったとか。こうした時に国会に調査委員会を設けて、自衛官を召喚し、専門家とともに事実を究明する」(三浦氏)
憲法裁判所で政府法案をチェック
司法による統制について山尾氏は憲法裁判所の設置を提案する。同裁判所を「政府が法案を国会に提出する前に、違憲かどうかチェックする役割。具体的に特定個人の権利を侵害していなくても、国家行為が憲法違反かどうかを一般的抽象的に判断できる機能」と定義する。
「以前は内閣法制局がこの機能を果たしてきた。しかし、安倍首相が人事に介入*したため、その判断が信用できないものになってしまった。こうした状態を是正するのが憲法裁判所だ」(山尾氏)
「自衛権を例にとれば、もし、自衛権行使の範囲を憲法で個別的自衛権に限定すれば、仮に政府が安保法制のように集団的自衛権の行使を認める立法を目指しても、憲法裁判所が違憲の判断をし、その法案は成立しないこととなる」
これに対し、三浦氏は司法による“必要以上のチェック”に警戒感を示す。例えば「統治行為論」*について「必要」との立場を取る。裁判所は、自衛隊をめぐるいくつかの裁判において統治行為論を理由に判断を避けていると批判する声がある。
「安全保障政策は様々な要素を考慮し、判断しなければならない総合的な政策で、国の命運を左右する。それを、わずかな数の法律の専門家が判断できるだろうか。できるわけがない。裁判所は明らかな憲法違反以外は政府の裁量に任せるべき。そうでなければ、わずかな数の法律家が国家の命運を担うことになってしまう。これは行政府の権限を奪うこと、さらには民主主義の否定につながる。恐ろしいことだ」(三浦氏)
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