③9条2項を削除して「誤魔化し」をやめる

三浦瑠麗・東京大学政策ビジョンセンター講師(写真:加藤 康)

 国際政治学者の三浦瑠麗・東京大学政策ビジョンセンター講師も、集団的自衛権の行使を許容する立場を取る(関連記事:「中学生が読んで自衛隊違憲となる憲法はおかしい」)。

 三浦氏が集団的自衛権の行使を許容するのは“攻め得”を生じさせないためだ。「集団的自衛権は、侵略を受けた国(A)が国連軍が到着するまでの間、自国の存続を全うするために認められた権利。Aが軍事的に弱い国の場合、国連が動くまでの間に負けてしまいかねない。それでは“攻め得”になってしまう。これを避けるために国連憲章が引き続き認めることにしたのが集団的自衛権=同盟の権利だ」

 「日本国憲法が定められた当時に比べて日本の防衛力は強くなった。もはや、守ってもらうだけの存在ではない。ならば、国連が唱える平和主義に則って、この世界を“攻め得”にすることのないよう集団的自衛権を行使することは、日本の義務になっている部分もあるのではないか。弱い国を見殺しにしてよいのか」(同)

 「こうした正義に取り組むかどうかも含めて、国益を追求する選択の中で(集団的自衛権)行使の是非を判断すべきだ。憲法によってしばる対象ではない」(同)

 同氏の提案 は、9条1項は現行のまま残し侵略戦争は放棄するものの、2項は削除する 。そうすることで「憲法解釈をめぐるこれまでの誤魔化しが必要なくなる」 。

三浦氏が提案する改憲案
  • ・9条1項は現状のまま
  • ・9条2項は削除
  • ・以下を加える(9条とは限らない)
  • 1)内閣総理大臣を最高指揮官とする自衛隊を置く
  • 2)開戦には国会の承認を要する(開戦権限)
  • 3)国会に調査委員会を設置し自衛隊の行動をチェックする(調査委の設置)
  • 4)軍事法廷を設置する(ただし結審は現行の最高裁判所)

 同氏は著書『国家の矛盾』の中でこう語っている。「1980年代生まれの私は、冷戦期に確立された憲法解釈をどこまでも細分化したガラス細工のような安保論議そのものに強い違和感を覚えて来ました。(中略)憲法解釈の論理作法にはちょっと付き合いきれない部分があるのは事実です」 。世代によって、現行9条に対する思い入れの強さは異なる。

 長島氏とは異なり、行使できる自衛権の範囲を限定する文言は置かず、時の政府の裁量に任せる。「個別的自衛権も集団的自衛権も、その時々の国益を守るために適切な政策は何かを考える中で、その是非を政府が決めればよい」 (三浦氏)