日経ビジネス7月11日号では、特集「不老~若さはここまで買える」を掲載。特集内では米国の美容医療の実態や日本のアンチエイジングの取り組み、老化研究の最先端などをリポートしている。その中で、体に機械を埋め込み不老不死を目指す米国の「トランスヒューマニスト」のムーブメントにも迫った。連載第2回目は、トランスヒューマニスト党を設立し米大統領選にも出馬した、ゾルダン・イシュトバン氏のインタビュー。トランスヒューマニストが目指す世界とは何か。
あなたはトランスヒューマニスト党を設立して、今回の大統領選に出馬した。まず、トランスヒューマニズムとは何かという点から聞かせて欲しい。

(写真:林 幸一郎、以下同)
ゾルダン・イシュトバン氏(以下、イシュトバン):トランスヒューマニズムは世界で数百万人が参加する社会運動だ。1950年代から始まり、最初はSF(サイエンス・フィクション)の中で用いられる概念や思想だったが、次第に社会運動になっていった。科学やテクノロジーを用いてラディカルに人間を変えるという考え方で、我々の生命のあり方そのものを変えるものだ。
例えば、私は自分の手に小さなチップを埋め込んでいる。特定の機種に限られるが、私が手を近づければ、私の名刺情報を送信することができる。今はこの程度だが、いずれは自動車のカギを開けたり、オフィスの入館証、空港のセキュリティーシステムなどで使われたりするようになるだろう。医療関係者も、血液型や持病など搬送されてくる患者の情報を瞬時に得られるようになる。
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