長寿の国、日本に必要な「幸福医療」

美容医療の市場はこの先、日本でも拡大していくのでしょうか。

高須:すごく広がると思います。たぶん医学の中では一番発展するのではないでしょうか。僕はそれを「第三の医療」と呼んでいます。

 「第一の医療」は病気を治すものです。けがを治したり、病人を治療したり。ただ、それでは効率が悪いんです。コレラが流行してから治しても、糖尿病になってから治しても、それは元を断ってないからいくらでも増えてしまいます。

 それよりも初めから衛生観念を身に付けさせること。婦人科で言えば、子供を堕胎する技術ではなく、避妊を教えてやること。歯医者でも虫歯になったら抜く治療をするのではなく、オーラルケアを教育する。メタボだって、糖尿病になるまで太らないようにコントロールすればいいじゃない。これが「第二の医療」なんですね。

 ただし現在、医療費抑制のために国が必死になって「予防医療」を浸透させていますが、これを進めれば進めるほど医者は貧乏になってしまいます。誰も虫歯の治療に来なくなりますからね。何より第一の医療と第二の医療が完全になると、みんなが長生きをするようになる。長生きで、そこそこ健康で、頭がぼけていなければ、次はみなさん幸福を求めるようになるはずです。つまり幸福のための医学が重要になるんです。

 「幸福医学」で求めるものはと言えば、やはり若さと美貌でしょう。手に入らない時はみなさん、「酸っぱいブドウ症候群」で「あのブドウは酸っぱい、あんなものは見るんじゃない」という発想になるでしょうが、手に入ることが分かれば、誰だって若く美しく長生きしたいに決まっています。

 利益を追求する株式会社がこれを手掛ければ、日本の巨大産業に成長するはずです。これからは第三の医療、つまり幸福医学が求められるようになる。僕は前からそう盛んに言ってきました。

 米国の大病院には2種類しかありません。株式会社化した病院と、慈善団体が運営する病院。両方とも質はいい勝負です。慈善団体は企業などからの献金がいくらでも集まるし、株式会社化された病院は利益を追求して利益を配分することで、どんどん投資が集まってくる。ただ両方とも、「国が管理して一切儲けは許さない」と言ったら衰退するに決まっています。国の予算を回せと言うのは、金魚鉢の中で医療をやっているのと一緒で、絶対に広がっていきません。

 僕は美容整形を医療費控除の対象にすべきではないかと主張しています。仮にハゲに植毛しても経費として落とせるようになれば、利用する人は爆発的に増えるでしょう。それがイノベーションを生み出して新たな経済活動が生まれる。こんな風に柔軟な思想で美容医療と向き合っていきたいですね。