AR(拡張現実)アプリ「セカイカメラ」やウェアラブル機器「テレパシー・ワン」で世間を驚かせた井口尊仁氏。事業としては失敗したが、再び起業し挑戦し続けている。「アイデアが浮かぶと挑戦せずにいられない」という、ゼロからイチを創造する原動力について聞いた。
■お知らせ■
日経ビジネスの「オープン編集会議」プロジェクトでは、「ゼロイチ人材の育て方」というテーマで編集部と一緒に議論し、一部の取材にも同行していただく「オープン編集会議メンバー(第3期)」を公募します。詳細は記事最後の参加者募集概要をご覧ください。ご応募、お待ちしております。
■オープン編集会議とは
読者が自分の意見を自由に書き込めるオピニオンプラットフォーム「日経ビジネスRaise(レイズ)」を活用し、日経ビジネスが取材を含む編集プロセスにユーザーの意見を取り入れながら記事を作っていくプロジェクト。

井口さんはこれまで、iPhoneが登場してすぐにAR(仮想現実)技術を使ったアプリ「セカイカメラ」を開発したり、眼鏡型ウェアラブル機器「テレパシー・ワン」を開発したり、アイデアをすぐに形にして発表してきました。今はどのようなサービスの開発に取り組んでいますか。
井口尊仁氏:米サンフランシスコを拠点に、DOKI DOKI, INC.という会社で「トランスペアレント」というサービスを開発しています。話している会話を音声認識して、関連する画像や映像をリアルタイムに収集・表示していくサービスです。音声コミュニケーションを可視化することで、例えば会議の参加者の理解を助け、生産性を向上することを目指しています。今はβ版のリリースに向けて準備中です。
よく、アイデアをどんどん付箋に書いて壁に貼っていったり、ホワイトボードに図を描いたりしながら会議をしますよね。創造性を高める手法として「ビジュアルミーティング」というものがありますが、ビジュアルは議論の活性化や理解をより定着させることに役に立ちます。それを、自動でやろうというものです。
昨年12月にプロトタイプを作ったら結構いいものができて、今年3月にSXSW(サウス・バイ・サウスウエスト=米オースティンで開催されるテクノロジーイベント)で発表したら、大ウケでした(笑)。特にウケたのは、人種間のコミュニケーションの壁を越えられるのではないか、という期待からです。欧米では移民の流入などによって異なるバックグラウンドを持つ人たちとのコミュニケーションが課題になっています。会話の内容がどんどんビジュアル化されれば、お互いに会話の前提をビジュアルで共有したうえで話ができるので、相互理解が進むというわけです。
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