社会をよくするためには、なぜ、スタートアップにもっと資金が集まる必要があると考えているのですか。
カラカニス氏:政府が世界を良くしていますか。宗教が世界を良くしていますか。非営利団体が世界を良くしていますか。
今のところ、起業家、そして資本主義こそが、世界を良くする最良のシステムであると、私は信じています。もしかしたら、将来、より良いシステムを誰かが考え出すかもしれませんが、現在は民主主義と資本主義こそ、すべての人の生活をよくする力があると思います。
詐欺や犯罪といった欠陥も、もちろんあります。しかし、資本主義は人々にインセンティブを与え、民主主義がそのインセンティブを追求し世界を変える自由を与えるんです。
最近では、こうした考えはあまり人気がありませんが、もっと資本主義と民主主義の力を信じるべきです。
必要なスキルなどわからない。子供は打たれ強く育てろ
最近では、テクノロジーがもたらす未来の変化に不安を感じている人も少なくありません。AI(人口知能)が多くの職を奪ってしまうのではないかといった不安です。特に、子供を持つ親は、どのような教育を授けるべきか悩みも多いと思います。エンジェル投資家として成功したカラカニスさんも、お子さんはいらっしゃいますよね。
カラカニス氏:ええ。娘が3人。30カ月の双子と、もうすぐ9歳になる長女です(インタビューした9月時点)。
娘さんにはどんな教育をしていますか。
カラカニス氏:まず、未来を恐れることはないよ。恐れるのではなく、準備をしておけばいいんです。将来にどんなスキルが必要になるかなんて、誰にもわからないのだから。
しかし、想像することはできます。
私が娘たちに教えているのは、柔軟で打たれ強くなれということです。「grit(勇気、闘志)」という言葉がありますが、まさにそれです。倒れても、立ち上がって、もう一度挑戦できるような人間になってほしいですね。
それは、新しいスキルを学べる能力とも関係していると思います。
娘が5歳くらいの時でしょうか。娘を連れてサンフランシスコの桟橋にカニ釣りにいったんです。娘がカニにとても興味を持ってね。サンフランシスコは中国人がとても多いのですが、桟橋でたくさんの中国人がカニ釣りをしているんです。
その人たちのほとんどが英語を話せないのですが、娘は中国人のお年寄りたちのところに駆け寄っていって、どうやって釣っているのか聞いたんですよ。もちろん、会話にはなりません。
だから、家に戻ってカニの釣り方を娘と一緒に検索しました。
どうやって釣るのが一番いい方法か知っていますか。
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