米ウーバー・テクノロジーズに創業初期段階で投資をして巨額の富を築いた著名エンジェル投資家、ジェイソン・カラカニス氏。数多くのスタートアップ経営者を見てきた同氏に、自身の生い立ちや子育てのエピソードを踏まえ、ゼロからイチを創造する人材の育て方を聞いた。

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<span class="fontBold">ジェイソン・カラカニス氏</span><br> 米ウーバー・テクノロジーズの創業初期に投資をして巨額の富を築いた、米国を代表するエンジェル投資家。著名米VC(セコイア・キャピタル)の「スカウト」メンバーも務めるなど、米スタートアップ界のカリスマ的存在。投資を決めた起業家に対する面倒見の良さなどで知られる。(写真:陶山勉、以下同)
ジェイソン・カラカニス氏
米ウーバー・テクノロジーズの創業初期に投資をして巨額の富を築いた、米国を代表するエンジェル投資家。著名米VC(セコイア・キャピタル)の「スカウト」メンバーも務めるなど、米スタートアップ界のカリスマ的存在。投資を決めた起業家に対する面倒見の良さなどで知られる。(写真:陶山勉、以下同)

まず、なぜ、今回『エンジェル投資家』(日経BP社)という本を書こうと思ったのですか。

ジェイソン・カラカニス氏:いい質問だね。そもそも、私はライターで、ジャーナリストとしてキャリアをスタートしました。だから、常に本を書きたいと思っていました。しかし、これまでナンバーワンの専門家であると思ったことがなかったから、本を書いてこなかった。

 本を書くのは、その分野の専門家でないとダメでしょう。専門家でもないのに何百ページもの本を書いて、多くの人に時間を無駄にさせている連中がいる。私は、そうはなりたくなかった。

 だけど今、私はエンジェル投資家として、世界一になりました。だから、この本を書くのは私の義務だと思ったんです。皆さんに私の知識を共有してもらいたいからね。

世界一のエンジェル投資家になったから、そのノウハウを広く共有したいということですね。

カラカニス氏:そう。ソーシャルメディアの世界では誰もがインフルエンサーになりたがっている。特に米国ではね。要するに、みんなに専門家として認めてもらいたいんだ。しかし、専門家というのは、世界で一番のトラックレコードを持っている人のことを言うんだよ。エンジェル投資家の分野では、それが私が一番だよ。

 もちろん、かつてエンジェル投資家だった人の中には、私よりいいトラックレコードを持っている人もいるかもしれない。でも、今現在、積極的に活動しているエンジェル投資家としては私だよ。

著書の中で、誰もがエンジェル投資家になれる、誰もが金持ちになれるということを“アウトサイダー”に知ってもらいたい、といった趣旨のことを書いていますね。

カラカニス氏:私は、もっと多くの人に「投資」をしてほしいんだ。お金がなくても世界を変えるためにスタートアップを立ち上げてがむしゃらに働いているような人に、もっとお金が集まるようになれば、社会はもっと良くなると思うんですよ。

 だから、みんなにこの本を読んでほしい。特に、日本のお金持ちにね。世界を変えようとしている若い起業家たちにもっと資金が集まるようにする、それが私のゴールです。

 正直言って、私はこれ以上、お金は必要ない。だけど、読者が次の米ウーバー・テクノロジーズのような偉大な会社を見つけて、「ジェイソン、次のウーバーを見つけたよ」と教えてくれたら最高だね。

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