「根拠のない自信」はどう身に付ける?

質問する原島氏
質問する原島氏

原島洋(オープン編集会議メンバー、ウェブマスターズ):起業の時に、あまりリスクを考えないと。それは「根拠のない自信」とも呼ばれるとも思うんですが、どの段階でそれを身に付けられたのでしょうか。子どもの頃の原体験などが影響していますか?

佐藤類氏:皆さん死んだことありますか? ないですよね。でも、死んでいたかもしれないってことは山ほどあるはずです。

 僕の母親は妊娠した時、看護師さんから、「佐藤さん、3人目ですけど、どうします?」と聞かれて、「産みます」と答えたそうです。その時「やめときます」って母が言ったら、僕はこの世にいないわけですよね。だから、何でもやれるって思います。

 子どもの時に行方不明になったこともあるし、熊野古道で東西南北が分からなくなったこともある。つまり、いつでも死と隣り合わせというか、皆さんもほとんど死んでるんですよ(笑)。昨日、電車にひかれたかもしれないし。それに比べたら、起業って大したことないですよね。

佐藤孝徳氏:死を意識するのはお勧めです。僕の祖父も会社をやっていて、彼は医療ミスで死んだんですよ。すごくいい経営者で、稼いだお金はフィリピンとバングラデシュに送って学校を作っていて、家訓は「奉仕せよ」。そんないい経営者が、人間ドックでは健康だと言われていたのに、医療ミスで死んでしまった。だから起業するとか、取引先がお金を払ってくれないとか、余裕だなと。

原氏:大学受験とか、努力したことが報われる体験みたいのがあります。事業を始める前に医者を離れて、コンサルタントとして働いた時の経験もそう。わからない世界に飛び込むのは、そのたびにすごく大変ですが、そこで少しやるうちにある程度分かってくる。努力したことに対して報われた体験は何らかの自信を与えてくれているんじゃないかなと思います。

宮本英典(オープン編集会議メンバー、東京応化工業):1人じゃできない、という話がありました。パートナーを見つけることは大事ですが、一緒にやっていける相手をどう探したのですか。

佐藤孝徳氏:まだパートナーとは喧嘩せずにやれています。僕の場合、三井物産時代に3年くらい近いところで仕事をしていましたし、(三井物産時代に赴任していた)北京という特殊な環境の中で、若手のゴルフ会や麻雀などを通じて、いい時も悪い時もお互いのことを見ていました。あとは好きな漫画のシーンとかを話したりして、価値観を共有していますね。

質問する宮本氏
質問する宮本氏

佐藤類氏:創業者の仕事と社長の仕事は違います。創業者の仕事は仲間集めで、社長は従業員の境遇をよくすること。お金があっても優秀な人間がいなかったら何もできないですから。逆に、優秀な人がいればお金なんか集まります。

 僕は高専3年生のころから一緒にやる仲間を探していました。自分には実力はないのに、優秀な人間を囲っていましたね。僕は仲間集めしか仕事をしていません。新卒採用も仲間集めの一環だし、優秀な人間がいれば、今の業績くらいにはなります。

原氏:自分と違う人たちと一緒にやりたいなと考えました。僕はどちらかというとおおらかで人と対立するのを好まないんだけど、COOの草間は、プロセスを区切ってやったり、私にも耳の痛いことを日々言ってきたりする。人数が増えても初期メンバーは似た人が多かったのですが、組織として限界があるので、もう少しやんちゃな人たちを入れていこうとか、そんなことを話しています。

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