佐伯:皆さん、あまりリスクを最初から考えていないんですね。ところで、事業をしていく中で心が折れそうな時、どう乗り越えましたか?

原氏:創業前のタイミングですが、医療とデータというテーマで事業をしようとなって、エンジニアが必要だとなりました。人脈を手繰っても、なかなかいい人が見つからない。GitHubとかからよさそうな人を探して、いきなりメールを出して勧誘するようなことをしていました。

 でも、「やろう」と言っても、そもそも始まらない。その時、どう乗り越えたかというと、一緒にやっていた草間(亮一COO=最高執行責任者)が、「エンジニアがいないなら、私がエンジニアになります」と言ってくれた。テックキャンプに通って、コーディングを勉強して、そこからプロトタイプを作りました。

 チームに恵まれましたね。1人だとできることには限界がありますから。1人でコールドコール(これまでつながりのなかった相手にいきなり電話すること)とかコールドメールをしていたら、そこで心が折れていたかもしれません。

足が震えた時も

佐藤類氏:創業した頃の話で陳腐に聞こえるかもしれませんが、内容証明郵便が来たことがあって、その時は足が震えましたね。今振り返れば、内容証明って年賀状みたいなものなのですよ(笑)。でも、23歳の僕はいきなり裁判だと思ってた(笑)。その文書は、弁護士間でいうところの「うやむやにしましょう」ということを意味するものだったみたいで、実際うやむやになったんですけど、震えましたね。

 あとは中途で採用した社員からご飯に誘われる時です。だいたい、そういう誘いの3回に1回は退職の話なんですよ。それ以来、人からご飯に誘われるのは嫌になったし、誘うのもトラウマになりました。

 受託開発をしていると、2カ月後にしかお金が入らないんです。2、3社、お金を払わないところが出てきて困ったこともありました。そんな時はググるか、社員に頼る。何も知らなくて「VC(ベンチャーキャピタル)」「アーリーステージ」「ハンズオン」といったキーワードでググって、6000万円投資してもらったこともあります。だから困った時はグーグル(笑)。

 できるだけ素直に社員を頼ったり、ググってパートナーの会社探したり。打開策がない、ということなんて世の中にはないので、そういう風にやっていけばいいんじゃないでしょうか。

今までなかったことが出来るのが喜び

佐伯:うれしいのはどんな時ですか。

原氏:今までできなかったことが実現するのは本当にうれしいですね。例えばオンライン診療。私も営業で回って、医師に対して「制度が変わってできるようになったんです」と言うんですが、「いやいや診療は対面でやるもの。できるわけない」って最初は言われるんです。でも、だんだん通うことで受け入れてくれて、そのうち「オンライン診療ができるから、患者さんが離脱しないでくれるようになったよ」っていう変化を感じられるとうれしいですね。

佐藤孝徳氏:物流も同じです。「インターネットでなんてできないよ」と言われるけど。エンジニアがうれしい顔をしていたり、社員同士が楽しそうに飲んでいたり、そういうのがうれしいですね。小さな幸せが増えて毎日楽しいです。

佐藤類氏:僕は人を採用することと、従業員の給料を増やすことが何よりも楽しい。きれいごとみたいですけど、売り上げが増えたり株価が上がったりするより、そっちの方がずっと楽しい。人には可能性があるから、こいつを雇ったら10年後こんなことになったとか、そう思って採用したわけじゃないけど、今、中核になってる、とか。その点で、人の採用とか給料増やすって楽しいですよね。そのために利益を増やすし、必要ならリストラをするし、新規事業を立ち上げるんです。