田中 宏氏(オープン編集会議メンバー、大正製薬ホールディングス):メルカリの経営ではこれまでのマネジメントの経験が力になったと思いますか。

小泉氏:やはり1回より2回、2回より3回の方が有利だと思います。米国のデータを見ると、一番成功しているのは40代。なぜならこれまでのビジネスパーソンとしての経験やネットワークなどの経験があるからです。

 創業者が若くても経験がある人間が支えていることも多い。グーグルのエリック・シュミット氏(元CEO、現アルファベット顧問)やフェイスブックのシェリル・サンドバーグ氏(現COO)がそうです。経験がある人材がナンバー2やナンバー3に入ることで力を発揮できるようになる。

 20代で起業すると、大きな組織での業務経験がないことが多い。経験しないとわからないことはあります。なので、30、40代の人がスタートアップにもっと飛び込めば成功確率は上がると思います。逆に大企業も30、40代を抜擢すべきです。チャンスを与えていないだけで優秀ですからね。

情報の透明性を高める

入江氏:事業規模が拡大し従業員が増えていくと、いかに従業員が一人称で考えられるかが重要になってきます。メルカリではどのようにマネジメントしていますか。

小泉氏:いろいろありますが、一つは目標の高さ。従業員が100人の時に、500人いないと達成できない目標を置けるかどうか。往々にして1000人いれば1000人でできる目標を設定しがちです。メルカリでは、難しい目標を設定させて、それを飛び越えたら出世できるようにしています。経営陣の目線が重要です。

入江氏:会社が大きくなると難しくなってきます。

小泉氏:情報共有をどうするかですね。メルカリでは僕と従業員が知ることができる情報がそんなに変わらない。かなりオープンにして、情報の取捨選択は個人に任せています。ダイレクトメッセージは禁止で、報告のための報告も必要なしです。

入江氏:古い企業だと、他部署にはこの情報を流さないといったことが良くあります。

小泉氏:確かに「情報格差」を利用してマネジメントする人はいますね。ですが、従業員が社長と同じ情報を持っていないのに、「経営マインドを持て」と言っても意味がないですよね。情報の透明性があることで、働きやすさにもつながる。日本企業はそこが生産性を低くしている気がします。

三輪 愛氏(オープン編集会議メンバー、ミニストップ):透明性を高めると情報量が膨大になりそうです。

小泉氏:そこは溺れないようにするしかない。情報をどう取捨選択するのかもビジネスセンスだと思います。過保護にならずに任せることが重要です。逆に「情報が来ないから仕事できない」というようにはしたくないですね。

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