佐伯:資金調達では金額などで妥協はしなかった?

小泉氏:成功するって信じてましたからね。スタートアップで成功している人はだいたい往生際が悪い。勝つまでやるというのが座右の銘の人が多いですよ。大和時代に、有名な起業家の人と食事する機会がありましたが、皆さん「成功するまでやるだけ」と口にします。僕も座右の銘にしていますよ。

 起業家ってそれくらい往生際が悪くないと成功しない。例えば選択肢が3つあった時に1つ選んで失敗したら、成功に近付いたって思えるかどうか。僕はそう考えます。失敗は成功にするための必要なプロセスです。

佐伯:大企業を経てからスタートアップに飛び込むほうが良かったですか。

小泉氏:僕自身、大企業に入社するのはお勧めしています。ただ、その業界で一位になっている部署に入る必要はあります。勝ち癖が付いている部署は、仕事に対するチェックが厳しく、ポジティブなサイクルに入っています。一方で負け組になっている部署は負け慣れしておりコンペ前に言い訳を考えることが多い。若いうちに勝ち癖を付けるって大事です。

松竹梅のプランを作る

入江 清隆氏(オープン編集会議メンバー、大日本印刷):私自身、大企業の中で新事業を手掛けており苦労することも多い。14億5000万円の調達に関して、投資家がメルカリに出資する判断ってどこにあったのでしょうか。

小泉氏:投資家はプロなので成功した場合のPL(損益計算書)がどうなるか、「松竹梅」のプランを作成しました。「一番下のプランでも十分利益が出て、IPOできますよ」とアピールしたわけです。当時メルカリは手数料を取ってませんでしたが流通量はあった。なのでPLを因数分解していろんな仮説を立てた。数字で説明できればリスクも把握できますからね。

松下 芳生氏(オープン編集会議メンバー、JPスタイル研究所):しびれる瞬間のもう1つに、資金を使うという話がありました。どういう意思決定がありましたか。

小泉氏:コストを削減して利益を出すよりも、お金使って売り上げを2倍にするほうが難しい。僕たちのように、資金をつぎ込まざるを得ないビジネスモデルはある。勝者が圧倒的で、2位以下は意味がない。このチキンレースを戦うしかないわけです。

 大企業には難しいでしょうね。赤字事業に5億円、10億円もつぎ込めない。そもそも赤字事業にエースを置かないでしょうし。スタートアップから見ると、大企業は戦いやすいですね。上場していれば、戦略も外に出ていますし。

原島 洋氏(オープン編集会議メンバー、ウェブマスターズ):勝者がすべてという考えはいつ学んだのでしょうか。

小泉氏:大和時代の担当企業を見て学びましたね。ネットの歴史を振り返ると、強いところが強くなるというのが自明です。

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