大竹剛(日経ビジネス編集部):起業がうまくいかない時の人生の「プランB」はありましたか。

辻氏:一つ思うのは、日本人は結構リスクを考えすぎかなと。日本で餓死したという話はほとんど聞かないですよね。ということは「まず死なないだろう」と考えました。だったらそんなにリスクはない。

 あと僕は自分自身が混乱すると不安要素を紙にとにかく書きました。実際に書いてみると「こんなものか」と思えるようになります。僕自身、人生を後悔したくないタイプ。やらないのが1番の後悔ですからね。

無責任に起業は進めない

佐伯:人に起業は勧めますか?

辻氏:いや~、どうですかねえ。その人次第かな。無責任には進められない。きついし、うまくいかないことが多いし。能力がある人でも(スマホの普及など外的要因の)タイミングが悪ければ成功しない。そういう意味で生き延びているのは周りの人々に応援してもらっているからですね。

 メディアには苦労している人はほとんど出てきません。しかし、実際には起業に失敗している人は多いでしょう。ただ、起業で失敗しても、それは人生の失敗ではありません。チャレンジから学んで、その後、大企業に勤めてバリバリ働く人もいますから。

宮本氏:日本と海外を比べるとまだ起業家の数が少ない気がします。時価総額のトップ30を見ると日本の顔ぶれが変わらないという指摘もあります。

辻氏:まず、「日本より海外がいい」というのは止めましょうと言いたいですね。僕は日本人ですし、日本が世界中で一番いい国だと思っていますから。

 実際、めちゃくちゃいい国だと思います。小さな国土なのに、GDP(国内総生産)も世界で3位。過小評価しすぎじゃないですかね。確かに米国や中国に比べると起業家の数は少ない。でも起業環境は僕らが創業した6~7年前に比べるとかなり良くなっている。国の支援も手厚くなっています。

 ただ時価総額のランキングを見ると、成長領域が伸びてないのは事実でしょう。そこは国策も含めて成長領域に優秀な人がシフトさせていく必要はあります。

水庫:創業して良かったですか?

辻氏:もちろん良かったですよ。プロダクトを提供して感謝していただきお金までいただける。厳しい声もいただきますが、喜んでいただくユーザーがいるのは励みです。創業当時のワンルームマンションでの辛い日々はそれはそれで楽しめました。

 結局、ユーザーの喜びがすべてです。僕らのサービスで夫婦げんかが減ったなんて聞くと、めちゃめちゃうれしいですからね。

日経ビジネスRaiseのオープン編集会議では「起業のリアル」をテーマにした企画をスタートしました。起業って怖くないですか? 起業って難しくないですか? 起業の資金や仲間はどうやって集めるの? 投資家を納得させるビジネスプランのツボはどこ?そんな起業にまつわる疑問をみんなで議論しています。

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■訂正履歴
本文中、上場後に「一気に4人辞めた」としていましたが、「一気に辞めた」の誤りです。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2018/9/11 10:00]