水庫郁実(早稲田大学、日経ビジネス編集部インターン):6人のメンバーはかなり狙い撃ちしたのでしょうか。

辻氏:実際はたくさんの人に声を掛けていましたね。普通に考えて、忙しくて会社のエース級の社員なんて来ないですよね。何人かには断られました。

 でも起業すると、断られることに慣れていきます。資金調達ではベンチャーキャピタルに何度も断られましたし。逆に受け入れてもらえることが本当にありがたく感じるようになりましたね。

マネーブックの失敗は忘れない

山中康史氏(Face2communication):マネーブックはニーズがあると思って始めたのだと思います。何がダメだったのでしょうか。

辻氏:結局、何もわかってなかったんですよね。提供者目線の思い込みでプロダクトを作っていました。当時は「リーンスタートアップ」なんて考え方も知りませんでしたし。もちろん今は、小さくテストして始める、ユーザーの声を聞くという手法は活用していますよ。

 現在僕らは「ミッション」「ビジョン」「バリュー」という3つの指針をとても大事にしています。バリューの1番目に「ユーザーフォーカス」と置いているのは、マネーブックの失敗の戒めですね。

山中氏:家計簿アプリの成功はやはりマスコミに取り上げられたのが大きい?

辻氏:「プロダクトマーケットフィット」がないモノは、ユーザーが離れていってしまいます。なのでユーザーが溜まる仕組み作りに集中する必要があります。一時期はプロダクトを作ることにすべてをかけてましたね。

 スタートアップが間違えがちなのは、ユーザー獲得ばかりにこだわって、脱落していくユーザーもいることに気付かないことです。ユーザーが溜まっていく仕組みを考えないとダメです。きっかけはマスコミかもしれませんが、ユーザーの声をサービスに反映していきました。一時期は「Google Play(グーグルプレイ)」(※アプリなどの配信サービス)に投稿されるコメントにすべて返信しましたし、すぐに改善しました。ユーザーの声は、出口の光が見えるということ。喜んでくれるユーザーがいるのは、そういう面では楽だと言えます。

 やはりサービスは「Nice to have(あったらいい)」ではなく、「Must have(なくてはならない)」でないとダメ。飽きられると終わっちゃう。それは今でも怖いですね。