佐伯:言われてどうでした。

辻氏:イケてると思って始めたんですけど途中から「アレ?」ってなってましたからね。その人に断言されて心が「ポキッ」と折れましたね。オープンなお金のSNSは早すぎたというか、未だに難しい。なのでクローズドな家計簿アプリにすぐ移行しましたね。

佐伯:とはいえ家計簿アプリは競争が激しい分野です。

辻氏:すでに似たようなサービスはありましたね。ただスマートフォンが普及し始めた時期でしたので、(ガラケーは捨てて)スマホに「全張り」しようと決めました。結果的にそれがよかったと思います。

 とにかく必死でしたね。ここまで来たら「自分たちの欲しいサービスを作ろう」と。ターゲットユーザーは「俺たち」と決めたわけです。

 もちろん、最初はうまくいかないですよ。2012年12月にリリースしたけど誰も知らないわけですし、宣伝費がないので広告も打てない。運よくメディアに取り上げられて、そこからようやく軌道に乗り始めました。

頼むから給料を出してくれ

佐伯:資金面での苦労はありましたか。

辻氏:起業時は自己資金だけでなくマネックスにも出資していただきました。最初は自分たちの給料をゼロにしようと思ったんですよね。自分たちも出資してるわけですし。

 ただ6人のうち1人が「貯蓄がほとんどないから続けられない。頼むから給料を出してくれ」と懇願してきて。「確かにそうだな」と思って出すことにしましたが、新入社員に毛が生えた程度でした。

宮本英典氏(東京応化工業):一般的には2~3人のチームで創業することが多い。6人のチームを作り上げたのは珍しかったのでは?

辻氏:いきなり創業は難しいですよね。それぞれの会社ではエース級に活躍していましたし。なので最初は土曜日の午前中に集まって議論することから始めました。すると最初は僕個人のプロジェクトだったのに、いつの間にかチームのプロジェクトに変わっていきました。土曜日に集まるなんて面倒ですよね。「週末くらい休ませてくれよ」と思いますよ。実際、脱落した人もいましたから。

 僕自身、起業を考えた際に必要な役割を紙に書いていきました。インフラやセキュリティーのスペシャリスト、アプリのエンジニアも必要だなと。スタートアップって「木の葉」みたいなもので、水の上に浮かべたらすぐ転覆しちゃう。だから「あいつと転覆したら仕方ないな」と思うメンバーに声を掛けていったわけです。