家族の幸せと個人の幸せの重なる部分が何なのか

イシダ(海外営業)

起業について、インタビューを拝見し、「経営について」「日本の企業環境について」2つご質問があります。

■経営について■

起業するにあたり、失敗したら(借金をもってしまったら)どうしようという気持ちは少なからず誰しにもあると思います。御社の決算公告を拝見する限り、毎期赤字幅が大きくなっています。

仮に、起業ができても、私がこのような大きな赤字を積み重ねた場合、森川さんのように頑張れる自信がありませんが、起業するなら赤字は当たり前としてとらえ、とにかく起業をし、お金のことは2の次3の次と考えるべきでしょうか?

赤字は悪とは限らないのでしょうか? 反対にこれだけ融資を引っ張れ、赤字でも経営を続けていることに自信を持った方がいいのでしょうか?

■日本の起業環境について■

中国と日本を比較され「中国とかは皆が起業するので、生き残るのが結構大変なんです。」とありますが、中国は失敗しても、社会的地位にあまり影響がないので、成功を前提ではなく、何かを行うことが優先されているように感じます。

日本の場合、一度失敗すると、レッテルを貼られたりと環境が大きく違うように感じますが、最近では特にそのようなことはないのでしょうか?

文化があまりに違うため、一概に中国と比べての議論よりも、現在変わりつつある日本の起業環境における問題点解決のために、森川さんのご経験から、政府の役割はあるのか? もしくは、投資家との良い関わり方があるか知りたいです。

また、中国は起業が多いですが、投資家も多く、投資額も大きいものがあると理解しています。日本では一つの案件に対して投資額も中国とは比較にならないと感じています。その上で日本で適した起業スタイルはなにかについてお伺いしたいです。

森川 亮(C Channel株式会社 代表取締役社長)

政府の関係でいうと、中国では外資企業に規制をかけているので、その分海外の競争相手からの戦いは減るでしょう。一方、国内の競争は厳しいです。ただそういう企業が成功すると、国内企業を買収するので国内の起業環境は盛り上がるでしょう。

投資額についてですが、中国もアメリカも市場が大きいので投資額も大きいです。なので日本企業が大きな投資を得ようと思ったら、中国やアメリカに出ていくことで投資を受けることは可能です。一方、国内で投資を受けるのであれば早期に上場をして資金調達をするというのが日本では一般的です。上場は海外よりも国内の方がやりやすいかもしれません。

森澤友和(Filament, Inc. / COO)

スマホ時代の国際的な競争について、森川さんへの質問

「新しいことを始める人にとって、日本は競争が厳しくありません」とのことでしたが、例えばスマホゲームの分野では、パズル系で日本オリジナルなヒットコンテンツがある一方で、戦略対戦ゲーム系では、海外発のコンテンツがどんどん進出してきているように感じます。中には、日本のタレントを複数名使ってゴールデンタイムにCMを流すようなものまであります。

これは、優れたコンテンツであればスマホ時代のローカライズはそれほど難しくなく、国際的な競争にさらされていることの象徴、と言えないでしょうか。また、C Channelにはそのような脅威(海外の同様のサービスが日本に進出する気配など)はないでしょうか?

森川 亮(C Channel株式会社 代表取締役社長)

もちろん海外からの進出による競争はありますが、どの企業もまず自国内で成功してから海外に出るケースが多いので、進出には時差があります。その前に自国で成功すれば、ある程度のポジションは取れるのかと思います。また国内企業の方が海外企業よりも、国内のニーズを理解している場合が多く、展開はしやすいと思います。いずれにしろ、中国やアメリカよりも外資企業の参入があることを考えても、日本は競争は厳しくないでしょう。

C CHANNELに関してですが、まず動画メディア事業で収益をあげるのはとても難しいです。海外の企業も分散型メディアで国内で利益を出している会社は少ないのではないでしょうか。

なので海外に出ていくだけの余力がある会社は少ないように思います。私たちは中国やアメリカの会社と海外で戦っていて勝っている状況なので、早期に展開したことが良い結果を出していると考えています。

寺田圭一(半導体設計)

せっかくの機会ということもあり、森川さまに以下のことをお聞きできればと思います。

1)若くない人(30代後半)が起業するにあたり、特別注意することはありますか? 大衆向けの起業指南本などは一応目を通していますが、そこに書かれていないような見知らぬ落とし穴がないか危惧しています。落とし穴というのは、例えばシニア起業では、起業者が高齢のため、入院・死亡リスクによって銀行から融資を受けにくい、などです。

2)親族への説得はどこまでするべきでしょうか? もう先が長くないとはいえ、私の勤務先は日本の大手家電メーカーであり、まだ十分な知名度を誇っています。そのこともあり、親族の理解を得ることができません。

妻は、起業(=退職)にしぶしぶ理解を示してくれていますが、親世代となるとかなり厳しいです。なぜ会社に育ててもらった礼を尽くさないのか、なぜ安定した未来を自ら捨てるのか、などです。正直、こんなことで親族とギクシャクしたくないのですが、妻が親世代の価値観に近いため、妻との今後のためにも、なんとか親世代の理解がほしい。起業する前からこんなことで悩むのはアホでしょうか?

3)私は、自分たち家族の将来を守るために、今の仕事を続けていてはまずいと考えています。そのため「心から起業がしたいのか」と問われれば、正直に言うと、首を縦には振れません。そこでお聞きしたいのですが、森川さんの目から見て、「自分の家族が生き残るための生存戦略」として、起業は正しい選択肢なのでしょうか。

海外移住、大企業へのしがみつきなど、食い扶持を維持する戦略はいろいろとあると思いますが、私のような消極的な人間でも起業はするべきでしょうか。私はするべきだと思っていますが、森川さんのご意見もお聞きしたいです。

森川 亮(C Channel株式会社 代表取締役社長)

まずは家族の幸せと個人の幸せの重なる部分が何なのか。自分の人生を諦めた方が家族は幸せなのか、諦めない方が幸せなのか。自分の人生を諦めない方が家族も自分も幸せになるのであれば、起業すれば良いと思います。自分の人生を諦めた方が家族は幸せなのであれば、挑戦して仮に失敗しても、きちんと責任を取れるだけの能力もしくは資金を持ってからやるというのもありかと思います。

 森川社長はインタビュー「おじさん向けに新しいことはやらない」で、「新しいことを始める人にとって、日本は競争が厳しくありません。その点で、私は日本が起業しやすい環境だと思っています」と語っている。上場して資金調達することも、海外と比べて容易とも指摘している。つまり、「やりたいこと」があるならば、起業という手段を使って挑戦する環境は、日本に整っているということのようだ。

 ただ、自分自身や家族の将来を考えて「起業のリスク」を心配する声に対しては、家族の幸せと自分自身の幸せが重なる部分はなにかを、よく考えたほうがいいとアドバイスする。結局のところ、「起業するかどうか」は、自分自身が「どう生きたいのか」を決めることなのだろう。

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