「私は基本的に、おじさん向けに新しいことをやらないようにしています」――。

衣服や化粧、美容、カフェなど、女性向けの情報を動画で提供するC Channelで社長を務める森川亮氏はこう語る。その理由は、イノベーションは先進的な若者たちがたくさん集まっている場所から起こるという考えからだ。日本テレビ放送網、ソニー、LINE社長を経てスタートアップを創業した森川氏がたどりついた、イノベーションの法則とは何か。大企業の社員やスタートアップ経営者を含む、日経ビジネスRaise「オープン編集会議メンバー」が、森川流の「起業のリアル」を聞く。

■オープン編集会議とは
読者が自分の意見を自由に書き込めるオピニオン・プラットフォーム「日経ビジネスRaise(レイズ)」を活用し、日経ビジネスが取材を含む編集プロセスにユーザーの意見を取り入れながら記事を作っていくプロジェクト。一部の取材に同行する「オープン編集会議メンバー」も公募。Raiseユーザー、オープン編集会議メンバー、編集部が協力して、日経ビジネス本誌の特集などを作っていく。

■お知らせ■
日経ビジネスの「オープン編集会議」プロジェクトでは、編集部と一緒に議論し、一部の取材にも同行していただく「オープン編集会議メンバー(第2期)」を公募しています。詳細は記事最後の参加者募集概要をご覧ください。ご応募、お待ちしております。

昨日、日経ビジネスRaiseのオープン編集会議に立ち上がりました「起業って怖くないですか?」では、「起業」に関する皆様のご意見とともに、C Channel森川亮社長への質問を受け付けます。来週(7月29日の週)前半までに「起業」についての読者の皆様の疑問や質問を募集し、後日、ゲストコメンテーターとして森川社長に回答いただきます。森川社長に、記事への感想や疑問、「起業」に関する質問を投げかけてみませんか?(質問の場合は■森川さんへの質問■とわかるように明記してください )

(注:オープン編集会議メンバーの発言内容は個人の意見であり、所属する企業や団体を代表するものではありません)
C Channe社長の森川亮氏(写真撮影=吉成大輔、以下同じ)

佐伯真也(日経ビジネス編集部):森川さんはLINEが絶好調の時に退任し、C Channelを設立されました。当時スマートフォンに特化した動画サービスが少なかった頃、どういう経緯で設立されたのでしょうか。

森川亮・C Channel社長(以下、森川氏):スマートフォンが盛り上がり始めた頃、LINEにいて気が付いたのは、他社はガラケー向けのサービスばかり開発しているということでした。当時ガラケーの台数はスマートフォンよりずっと多く、そちらの方が儲かったのです。でも、結局ガラケーがスマートフォンに取って代わられると分かっていたのに、スマートフォン向けのサービスを始める会社は少なかった。そんな時に設立したのがC Channelでした。

 日本の企業は、良くも悪くも、競合他社がやらないとやらないじゃないですか。日本テレビにいた頃、新規事業を上司に提案すると「他局はやっているのか」という話になりました。ボツになるのが悔しいので海外の番組も取材して、「アメリカではやっています」と言うと、今度は「やるのはいいが、それは儲かるのか」という話になってしまう。

 そういった文化のためか、新しいことを始める人にとって、日本は競争が厳しくありません。その点で、私は日本が起業しやすい環境だと思っています。誰もやらないので、他の国に比べて競合が後を追ってくるまで時間的な余裕がある。中国とかは皆が起業するので、生き残るのが結構大変なんです。

 日本で唯一の難点は、採用が難しいことです。新しいことをやりたいと考える人が少ないので、事業を成長させようと思った時に人を確保しづらい。そのタイミングで海外の企業に負けてしまうということはあります。

額田純嗣氏(オープン編集会議メンバー/三越伊勢丹):C Channelで若い女性をターゲットにしたのは何か理由があったのですか。

森川氏:私は基本的に、おじさん向けに新しいことをやらないようにしています。前職で新しい事業を始めると、周囲のおじさんたちからは「森川くんのすることはあまり上手くいかないよね」ということをよく言われました。ところが何年かして軌道に乗ってくると、「俺が言った通りだろ」となるんですが(笑)。

 その時、おじさんたちは新しいものをただ否定する動物だなと思いました。その経験もあり、素直に良いものを良いと言ってくれる人から始めないと絶対に上手くいかないと考えています。だから女性に向けて始めました。