日本郵便が「オープンイノベーション」に力を入れ始めた。大企業とスタートアップの連携を目指す動きは大きな潮流になっているが、日本郵便は社外の技術やアイデアを変革に生かせるのだろうか?

■お知らせ■
日経ビジネスは、読者が自分の意見を自由に書き込めるオピニオン・プラットフォーム「日経ビジネスRaise(レイズ)」を立ち上げました。その中のコーナー「オープン編集会議」では、イノベーションに関する話題を皆さんとともに議論しています。ぜひ、ご参加ください。

<オープン編集会議>
◆Room No.01 日本のイノベーションは停滞している?
今日のテーマ:「オープンイノベーション」の現実
◆Room No.03 イノベーションを阻む「大企業病」、どう打ち破る?
今日のテーマ:イノベーションにおける「中間管理職」の存在価値

笑顔で握手する横山・日本郵便社長と榊原・サムライインキュベート社長

 日本郵便は7月5日、「ポスト・ロジテック・イノベーション・プログラム2018」を始めると発表した。起業家支援を手掛けるサムライインキュベート(東京・品川)と協力して、スタートアップ企業から郵便・物流事業の変革アイデアを募る。社外のリソースを活用して新規事業を立ち上げることを目指す、「オープンイノベーション」の取り組みだ。

 昨年実施した第一弾では、提携したスタートアップとは配達ルートをAI(人工知能)で提案する実証実験を開始。日本郵便の横山邦男社長は「経営の最重要案件」と述べるほど、オープンイノベーションを重視している。「古い会社」の代表格とみなされがちな元国営の事業を手掛けている企業だが、自社から出るアイデアの限界を認め、外部との連携に活路を探ろうとしている。

 日経ビジネスは、6月18日に立ち上げたオピニオン・プラットフォーム「Raise」上で、読者や取材先と議論し、その内容を編集プロセスに取り入れる「オープン編集会議」というプロジェクトを実施している。取材などにも同行してもらうオープン編集会議メンバーも公募し、議論を深めてきた。メンバーの1人が、日本郵便でオープンイノベーションの取り組みを進める、同社事業開発推進室の福井崇博主任だ。

 昨年の第1回目のプログラム立案にもかかわった福井氏は「2回目の今回は、テーマ設定をより多くの領域に広げた。社内の各部署が何を求めているか、どういう応募テーマならばよりいい提案をスタートアップからもらえるのか、というテーマ設定に最も時間をかけた」と苦労を語る。

変化に気づいてから手を打つのでは遅い

 「変化に気づいてから手を打つのでは遅い」。記者会見した日本郵便の横山社長は「物流拠点のオペレーション自動化」など5つのテーマで、提携するスタートアップの募集を始めるプログラムの意義を説明した。

 横山社長は「Eコマースの発展で荷物が急増しているうえ、人手不足も深刻」と自社を取り巻く環境を指摘。「お客様のニーズに先んじて、革新的で最先端の技術を採用し続けなければ生き残っていけないという危機感を強く持っている」と話した。