フラッシュメモリーが「成長ドライバー」

 原子力と並ぶ注目事業が、NAND型フラッシュメモリーだ。東芝の綱川社長は「フラッシュメモリーを中心とするストレージが成長ドライバーになる」と説明会で発言。エネルギーや社会インフラは、フラッシュメモリーの業績変動リスクをカバーする安定収益基盤と位置づけた。

 半導体を軸とする「ストレージ&デバイスソリューション社」社長の成毛康雄氏は「(中国メーカー製の)中華スマホでフラッシュメモリーの搭載容量が増えている」と指摘。需給バランスが好転し、売価の下落ペースが鈍化していると言う。

 焦点は最新鋭の「3次元メモリー」がいつから収益に貢献するかだ。東芝は3年間で8600億円を投じ、量産を加速する計画を発表済み。「2017年度の後半には、64層の3次元メモリーをマジョリティーにしたい」と成毛氏は述べた。

 価格下落が影響し、2016年度のフラッシュメモリー事業の営業利益率は1ケタ台に落ち込む見込み。成毛氏は「メモリーはボラティリティーが高い」と認めたうえで、「今後はデータセンター向けの需要が伸びるので利益率は回復する。10%が最低ラインだと考えている」と力を込めた。

 今回のIR説明会は「資本市場への復帰」(綱川社長)に向けた下準備と位置づけられる。

 東芝は2015年9月、内部管理に問題があるとして東京証券取引所から「特設注意市場銘柄」に指定された。東芝は今年9月をめどに内部管理体制確認書を提出し、日本取引所自主規制法人による審査を受けるとしている。審査後に指定解除されれば市場を通じた資金調達の道が開けるが、解除されなければ上場廃止になるリスクがある。

 情報開示姿勢が改善したかどうかも、指定解除のポイントになりそうだ。東芝が初めてカンパニー別のIR説明会を開催した意義は、まさにここにあるのだろう。

 7年間で2000億円以上の利益を水増ししていた東芝。巨額の不正が長期にわたって露見しなかったのはなぜなのか。何が歴代トップを隠蔽に駆り立てたのか――。

 日経ビジネスが報道してきた東芝関連記事に新たな事実を追加した書籍、「東芝、粉飾の原点」が7月15日に発売されます。勇気ある社員の証言や膨大な内部資料を基に、東芝が抱える“闇”に切り込む一冊です。

≪書籍の主な内容≫
【序章】 こじ開けたパンドラの箱
【第1章】 不正の根源、パワハラ地獄
【第2章】 まやかしの第三者委員会
【第3章】 引き継がれた旧体制
【第4章】 社員が明かす不正の手口
【第5章】 原点はウエスチングハウス
【第6章】 減損を回避したトリック
【第7章】 歴代3社長提訴の欺瞞
【第8章】 「著しく不当」だった監査法人
【第9章】 迫る債務超過、激化するリストラ
【第10章】 視界不良の「新生」東芝