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出席株主数は昨年と比べて半減

 その後も厳しい質問が飛んだものの、質疑応答は総じて落ち着いた雰囲気で進んだ。取締役選任など2つの議案は賛成多数で可決し、午後1時09分に幕を閉じた。質問者数は過去最高の29人で、時間は過去4番目の長さとなる3時間を超えたが、昨年の定時株主総会のように怒号が飛び交うことはほぼなかった。出席株主数は984人。国技館で開催した昨年の定時株主総会には2089人が出席した。悪天候と幕張という場所を考えても、寂しい結果だ。

 株価下落に直面した15年当時と比べて、東芝の経営危機を自身の問題と捉えた株主は少なくなったのかもしれない。綱川社長をはじめ時折笑顔を見せた東芝経営陣にとって、株主からのプレッシャーが弱まったことを意味する。

 実際に東芝は、総会が終了した直後の午後2時には、協業先のWDに対して不正競争行為の差し止めを求める仮処分と、1200億円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴したと発表した。午後5時にはメモリーを製造する四日市工場(三重県四日市市)の新製造棟への投資も明らかにし、「WDとは協議中だが参加しない場合は単独で投資する」とした。

 友好関係をアピールしていた株主総会直後に、WDに対して真逆のゆさぶりをかけた東芝経営陣。総会中何度も「お詫び」を繰り返したものの、株主軽視との批判は免れないだろう。

 米原子力事業の巨額損失、大黒柱のフラッシュメモリー事業の“売却”……。かつての名門企業はなぜ、崩壊の危機に瀕してしまったのでしょうか。

 勇気ある社員の証言や膨大な内部資料を基に、東芝が抱える“闇”に切り込んだ『東芝 粉飾の原点』。東芝の現状を理解するのに必須の一冊です。

≪書籍の主な内容≫
【序章】 こじ開けたパンドラの箱
【第1章】 不正の根源、パワハラ地獄
【第2章】 まやかしの第三者委員会
【第3章】 引き継がれた旧体制
【第4章】 社員が明かす不正の手口
【第5章】 原点はウエスチングハウス
【第6章】 減損を回避したトリック
【第7章】 歴代3社長提訴の欺瞞
【第8章】 「著しく不当」だった監査法人
【第9章】 迫る債務超過、激化するリストラ
【第10章】 視界不良の「新生」東芝


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