破産手続き中のWHについては当時の経営陣への非難も相次いだ。「昨年、WHの損失が明るみに出た。当時率いていたのは志賀さんだろう。粉飾も含めて責任があるはずだ。今年2月に辞めて以降、志賀さんは一度もマスコミ含めて説明がない。仲良しクラブなのか東芝の役員は」。 株主の1人が厳しく問いただすと、開場から拍手が起きた。

 だが、綱川社長は「原発については志賀の件も含めてお詫びを申し上げる。志賀は既に会長を退任し、総会で執行役も退任する。今後このようなことがないように改善していく」と回答するのみ。志賀氏は会場入りしたものの発言はせず、会場は騒然となった。

 さらに別の株主も続ける。「WHの経営トップの刑事責任、損害賠償請求についてどう考えているのか。違法に会社に損害を与えた特別背任なのではないか」。これに対し法務担当の櫻井上席常務は「買収プロセスとしては情報の精査はしており、現時点では(東芝として)個人的な不正や背任は特に見出していない。一方本件については当局の調査が行われている。状況を見ながら最終的に判断したい」 との回答にとどめた。

「グリーン車に乗るのか?」

 眼帯と並ぶ総会のハイライトは、「東芝が好きだから」株を保有している株主の質問。社長のコスト意識について、「京セラでは稲盛さん(和夫・名誉会長)以外、新幹線のグリーン車に乗らないと聞く。綱川社長はグリーン車なのか、飛行機は(ビジネスクラスか)、公用車は使っているのか。かつて経営危機に陥ったJALのトップは株主総会で答えてくれた。こんな状況なら、ここに公用車では来ないよね。公共交通機関を使ってきたんでしょ」と詰め寄る。

 これに対し綱川社長は「グリーン車は時間に応じて使う。飛行機は私の場合、(中国はエコノミーだが)遠い場所ではビジネスにしている。社用車はセキュリティーの面で使っているが全体としては減らしている。これ以上の詳細は回答を控える」とし、早々に次の質問に移った。

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