数字への要求は厳しい。「事業部門ごとにコミットメントが求められるのは東芝時代とは異なる」(東芝ライフスタイルの石渡敏郎社長)。ただそれは「世界基準で見ると当たり前の世界だ」。今井技師長も「東芝傘下時代は経営危機のあおりで新製品の投入を断念したこともあった。技術者にとって何も生み出せないのが一番つらかった」と前向きだ。

東芝ライフスタイルの石渡敏郎社長(撮影:陶山勉)
東芝ライフスタイルの石渡敏郎社長(撮影:陶山勉)

良い商品を出すしか道はない

 東芝ライフスタイルを取り巻く事業環境は厳しい状況が続く。国内の白物家電事業がメーンだったが、経営危機のあおりで洗濯機や冷蔵庫など主力商品は軒並みシェアを落とした。「まずは早期に以前のシェアを取り返したい」と石渡社長は意気込む。

 一度失ったブランドイメージを取り戻すのは容易ではない。今井技師長は「良い商品をお客様に届けること。地道に続けていくしかない」と話す。

 反転攻勢の第一弾となる商品が5月末に発表した縦型洗濯機「ザブーン」の新機種だ。ナノサイズ(ナノは10億分の1)の微細な泡「ウルトラファインバブル」を生成し、従来に比べて洗浄力を高めたのが特徴。「他社にはない技術。シェア奪還の起爆剤にしていく」(石渡社長)考えだ。

新生東芝として投入する大型商品である洗濯機「ザブーン」。微細な泡を使い洗浄力を高めた
新生東芝として投入する大型商品である洗濯機「ザブーン」。微細な泡を使い洗浄力を高めた

 現在は来年度に向けた新卒採用の真っただ中。「募集しても来てくれるか不安はあった。だがふたを開けてみると『美的傘下に入ったことで世界と戦えるようになる』と前向きにとらえた学生の応募が増えている」と石渡社長は笑顔で話す。