単月だが黒字を出すことに成功

 もう1つの出来事は、1月と2月に単月黒字を出したことです。これは一過性のことですが、ホテル経営で黒字を出すには最低1年かかると言われていたため、私は安堵し、連日頑張ってくれているホテルの従業員ひとりひとりの顔を脳裏に浮かべ、謝意を表しました。感謝の連続です。

筆者が日本に一時帰国時に登壇したセミナーの模様
筆者が日本に一時帰国時に登壇したセミナーの模様

 まだまだホテル経営は不安要素が残っているもの、こうした出来事もあって、ひょっとしたら成功できるかもしれないという気持ちが少しずつ湧いています。オーナーとの契約は延長することにしました。また、たとえ失敗したとしても、挑戦することによって、今まで知り得なかった貴重な体験を得ています。負けるものかという情熱も湧いてきています。青春を取り戻したという感覚です。共に苦労しながら、ホテル関係者との心のふれあいを味わっています。これらはお金では買えないもの。それで十分ではないかと思うことにしています。これは私独特の負け惜しみ発言でもあるのですが、そう思うことで私の気持ちは軽くなるのです。

ホテル経営の依頼が相次ぐ

 最後に、著書『インドビジネス40年戦記 13億人市場との付き合い方』の出版後の状況をお伝えしておきましょう。マネサールのホテルは、おかげさまで2016年1月以降、黒字経営が続いています。また、2016年6月1日から、さらにグルガオンにあるハビタレーホテル(97室)の経営を会長として委託されました。将来はこのホテルで日本食レストランを開業することも考えています。

 さらに加えて、ごく最近の話ですが、82室を持つあるホテルから再建の要請が舞い込みました。私は間もなく72歳となる老人であり、私の能力問題もあるので、本件は慎重に対応したいと思っています。

 ともかく、人の縁を大切にしながら、一生懸命に真面目にやれば、ビジネスチャンスは向こうからやってくると、しみじみ感じている今日この頃です。

(了)

より詳しい話はこちらでどうぞ
インドビジネス40年戦記 13億人市場との付き合い方
『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4822251462/" target="_blank"><b>インドビジネス40年戦記 13億人市場との付き合い方</b></a>』<br />(中島敬二著、日経BP社、1600円+税)
インドビジネス40年戦記 13億人市場との付き合い方
(中島敬二著、日経BP社、1600円+税)
 商社マンとして40年にわたってインドビジネスにかかわり、現在はインドに在住して現地で「師」と慕われる著者が、自らの実体験を振り返りながら、インドビジネスを成功に導く鉄則を解説する。
 私たち日本人には、インド人の思考パターンや行動パターンはなかなか理解しがたいところがある。道を尋ねると口から出まかせを言い、お金を貸すと返してくれないことも珍しくない。「考え方をころころ変える」「約束を守らない」「その場しのぎ主義」と見えることもよくある。
 一方、日本でインド人の優秀さが語られることも増えている。特にビジネスの世界においては、インド人の活躍が目立っていることはまぎれもない事実である。世界的な大企業のCEOに就任するインド人が増えていることは、その象徴であろう。
 私たち日本人は、インドの人々のことをあまりにも知らない。約束を守らないインド人と、世界企業のCEOになるインド人と、どちらが「本当のインド人」なのであろうか。