例えば、警察、消防署、保健所、州政府、HSSIDC(ハリヤナ州開発公団)などから、ライセンス発給について異存がないというNOC(Non Objection Certificate)を申請者自らが取得しなければなりません。このNOC取得にも多大な時間がかかるのです。

役所の不誠実な対応

 結論から言うと、ライセンス取得には1年以上かかってしまいました。

 その顛末は『インドビジネス40年戦記 13億人市場との付き合い方』に詳しく記しましたが、かいつまんで紹介します。

 当初、一番難関と思っていた警察署のNOCは3週間程度で取得できました。消防署や保健所などのNOCも難儀せずに取得できました。ですが、ある役所からのNOC取得には大変難儀しました。書類をチェックする第二段階のところで処理が2カ月以上止まってしまったのです。

 担当の役人からは、賄賂を払えば書類を上に回すとの示唆がありましたが、もちろん拒否しました。そこで私がその役所の副長官に直談判することにしたところ、書類を止めていた役人は態度を変えて、署名をもらえることになりました。

 そのほか、こちらの知識不足もあって、必用な手続きに時間かかかり、一通りの書類を準備するのに10カ月の月日を要しました。

 そして最後に大どんでん返しが待っていました。

 2015年2月、ようやくハリヤナ州都にあるETCが申請書類を受理してくれたときに、思いがけない新たな問題を突きつけられたのです。私のレストランがある場所は工場地帯なので、ライセンス発給の対象は3つ星以上のホテルのみだというのです。私のレストランにライセンスを発給するのは違法となるとのこと。青天の霹靂とはこのことでした。

 実は、ライセンス取得に協力してくれていたシャルマさんが最初にグルガオンにあるETCの出先機関のDETCに申請書類を提出した時に、担当者は理由も言わずに書類の受理を拒絶しました。これに対し、シャルマさんは「申請者の中島氏はハリヤナ州政府の元名誉顧問であった人。理由なしに書類受付を拒否したら、あなたに問題が起こるかもしれませんよ」と強めに主張したところ、「オヤ」という顔をして不承不承、申請書類を受理したというのです。

 その理由はこれだったということを私はようやく認識しました。ひどい仕打ちです。最初の申請時に指摘してくれていれば、ほかに打つ手があったかも知れないと思いました。私は当局のやり方と不誠実な対応を恨みました。

超エリート官僚の異例の対応

 万事休す。こうなったら直談判するしかありません。私はETCに苦情を申し立てるため、ハリヤナ州都のチャンディガールに飛びました。

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