「レジロボのせいで、レジに行列ができて時間がかかる。子供や女性向けにはいいけど、自分にとっては正直言って邪魔」(30代会社員・男性)

 「意外性を追求しすぎ。前の子供がおどろいて泣き出していた。ちょっとかわいそう」(20代会社員・女性)

 「女子高生がうるさい。テーマパークではないのだから、もう少し落ち着いたお店がよい」(40代主婦)

また、店員からは、

 「お客様の動線が悪くなりますね。レジロボに長蛇の列ができてしまうことや見物客が増えてしまって、これまでのお客様が逃げていきそうで心配です」

 「AIを搭載したレジロボですが、店員がついて調整や操作をしないといけないので、スタッフを増やさないと対応は難しいと思います」

といったネガティブな反応も出てきていた。

繰り返される実証実験

 2週間の実証実験が終わってから、咲間や山下は、中島や店舗スタッフとともに反省会を開いた。中島が最初に話し始めた。

 「まずは皆さん、お疲れ様でした。レジロボのお陰で大盛況。客数・売り上げも上がり、メディアでも注目を浴びてよかったと思います」

 咲間は、中島の肯定的なコメントに、内心ほっと胸をなでおろした。ところが、中島は言葉を続けた。

 「ただ残念ながら、このロボットを継続して導入するのは難しいと思います。なぜなら、店舗の混乱が大きく、これまでのお客様へのマイナスも大きい。レジロボを展開するには、もう一度、コンセプトから見直しが必要と思います。やはりレジロボとするには、オペレーションの負担が大きいです。置くのであれば店頭でスタッフのサポートなしで対応できるようにするのがいいと考えています」

 ここでちゃんと反論しておかないと潰される。咲間は、慎重に言葉を選びながら答えた。

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