咲間は翌週に早速、小売事業部で店舗運営部長をつとめる中島との打ち合わせを設定し、役員プレゼンで話した企画を一通り説明した。

 「…ということで、中島部長、聞いていらっしゃるとは思いますが、先週の役員プレゼンテーションでゴーサインをいただいた実証実験をしていきたいと思いますので、恐れ入りますが、ご協力をいただけますと助かります」

 咲間の20分にわたるプレゼンを、当初は黙って、徐々に、そわそわしながら聞いていた中島は、距離を置くように、そして、慎重に言葉を選びながら言った。

 「何かやるって話は、ちょっと聞いたけど、それくらいだな。何か具体的な話は聞いていないし、で、うちは何をしたら良いの?」

 中島の口調から、言外に、積極的には関与したくない様子を感じ取った咲間は、当惑しながらも答えた。

 「早速、来週から企画の具体化を皆さんとしていきたいと思っています。なので、中島部長に加えて、本部の販促企画担当の方数名とで企画を揉んだうえで、実験導入予定の店長、店員の方とも順次会議を実施できればと思います」

 咲間の説明を聞き、やや面くらったように、中島は言った。

 「え、企画の詳細化の段階から、うちも人を出す必要があるの? しかも、複数人? それは聞いていないな。そんなこと、先週の場で説明した?」

 

 「え、いや、そこまで具体的な説明はしていませんが、ただ、きちんとお店で受け入れてもらえる企画にするなら、皆さんにも協力をしてもらった方が良いかなと思いまして」

総論賛成、でも実現までの壁は厚し

 「咲間さん、まずね、今の段階でそんなに多くの人は出せないよ。これは先に言っておくね。今、この話を知ってるの、まだ私だけだし。それにみんな、今は目の前の仕事を持ってるんだからね。で、いつ、実施したいの?」

 だんだんと口調が厳しくなってきた中島に、咲間は、恐る恐る答えた。

 「一応、計画では2カ月後を考えています。可能でしょうか?」

 咲間の言葉に、半ばあきれ顔になりながら、中島は言った。

 「2カ月? 現状の店舗企画のオペレーションサイクルでも、企画から現場実行まで4カ月が標準なのに? まだ、オペレーションが決まっていない新しいことを、これより早くやろうとしているの? できると思っているの?」

 「2カ月でと思っています。一応、ロボットは、1カ月後には完成しますし、今回の企画は、そのロボットがメインなので」