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主要20カ国・地域(G20)首脳会議が閉幕した。日本の大方のメディアは“米国の反対で「保護主義と闘う」との文言を首脳宣言から削除され、G20の機能不全、劣化は深刻だ”との論調だが、果たしてそうか。むしろ、中国に軌道修正を迫るプロセスは着実に進展している。

(写真=新華社/アフロ)

 12月1日、主要20カ国・地域(G20)首脳会議が閉幕した。日本の大方のメディアの報道ぶりは次のようなものだ。

 “米中が激しく対立して首脳宣言を出せないという最悪事態は免れたが、米国の反対で「保護主義と闘う」との文言を首脳宣言から削除され、G20の機能不全、劣化は深刻だ”

 果たしてそうだろうか。

 海外紙と比較すると、日本のメディアのパターン化した見方、「木を見て森を見ず」に危うさを感じる。

 米国の「保護主義と闘う」の削除の主張だけを見るのではなく、中国の対応も含めた、米中の駆け引き全体を見なければいけない。

真相は中国の危機感にある!

 真相はこうだ。

 昨年のハンブルグでのG20首脳宣言では「不公正な貿易慣行を含む保護主義と闘う」との文言で合意した。今回も米国も含めて多くの国がこの文言で受け入れたが、中国が反対した。「不公正な貿易慣行」という表現が、中国の国有企業への巨額の補助金や知的財産権の問題を攻める“口実”を与えるとの危惧からだ。しかし、この文言を削除して、単に「保護主義と闘う」との記述だけでは、米国は受け入れない。

 これは直前のアジア太平洋協力会議(APEC)において、中国が孤立して決裂して首脳宣言が出せなかった構図と同じだ(前稿「米中対立のAPEC」が「成功」と言えるワケ)。

 もう一つ中国がどうしても受け入れない文言があった。「市場歪曲の措置の除去」だ。これも昨年のG20 では既に盛り込まれている。今回、中国が削除を強硬に主張する背景は「不公正な貿易慣行」と同じだ。

 むしろ中国が警戒を強めて、こうした文言の削除に転じたことに注目すべきだ。

 中国の国家主導の政策への批判が高まり、孤立の結果、軌道修正させられることは何が何でも避けたい、というのが本音だろう。その危機感からか、これまで合意してきた文言も“地雷”に見えるようだ。

 中国が徐々に軌道修正していくプロセスとして、この一局面を時間軸を持って冷静に見ていくことが必要だ。

 米国の強硬な反対で「保護主義と闘う」が盛り込まれなかった、との一点にしか目が行かない報道には注意したい。