消費増税の再延期で社会保障の財源は厳しく

 広島県呉市は、診療報酬明細書のデータを基に、国民健康保険加入者の医療費を抑える取り組みを続けている。薬をジェネリックに変えることで安くなる人に差額を通知した結果、10億円以上の削減効果も。全国の自治体から注目を集めている。

 ただし、呉市の事業が着実に進んできたのは、市だけが努力したからではない。それを支える協力体制があったからだ。

 レセプトの分析は、医療データサービスを手掛けるデータホライゾンが手掛ける。2016年3月時点で、国民健康保険の保険者は285、そのほか企業などの43の健康保険組合が、同社のレセプトのデータなどを使った医療費削減につながるサービスを導入している。また、糖尿病患者への生活指導などは、看護師による病気の管理などのサービスを展開するDPPヘルスパートナーズ(広島市)が担っている。

 地元の医療機関や医師の協力も、重要な要素だ。呉市の担当者も「地元医師会と対話を繰り返し、理解を示してもらいながら進めてきたので、ここまでやってこられた」という。医療機関にとっては、目の前の患者に必要な医療を提供しているだけでも、全体でみれば必要以上の医療費がかかっているケースが存在している。保険者の“介入”によって医療機関に入るはずだった報酬は減ることになるかもしれない。だが、医療費の増大に直面する中では、こうした適正化は避けて通れない。

 消費増税が再延期されたことで、社会保障にかける財源は厳しくなり、医療費の適正化の流れは、ますます強くなるだろう。医療サービスを受ける患者も、健康に対する意識を高めて、保険の恩恵を授かる意味を改めて自覚する時期に来ている。