連載第10回は、7月28日に登壇するヤマハ発動機のブランディングについて取り上げます。
ヤマハ発動機の好業績の要因は「デザイン」
ヤマハ発動機がこの2年で発表したデザインコンセプトモデルは、乗り物以外も含めると10は超す。そのコンセプトモデルの発表の場も、欧州の美術の祭典から、神が住むと言われている瀬戸内海の島まで多彩。これまでは二輪・四輪車メーカーが発表するコンセプトモデルと言えば、モーターショーやモーターサイクルショーで発表するのが当たり前だった常識を覆し、矢継ぎ早に「企業が考える未来の乗り物の姿」をマーケットに応じて次々と提案していく。
ヤマハ発動機の2015年12月期の業績は、売上高が前年同期比6.2%増の1兆6154億円、経常利益は28.7%増の1252億円(+28.7%)。この好業績を支えた要因の1つに、デザインがあったのは間違いない。
ブランドコンサルティング会社、インターブランドが発表するJapan's Best Global Brands 2016でヤマハブランドのランキングは、2年前には圏外だったところから一気に28位にまで上昇。海外のデザイン賞でもここ2年ほどは多くの受賞製品を輩出しており、同社のデザインは勢いづいている。
2016年には、羽の生えたようなアジア市場の女性をターゲットにしたスクーターのコンセプトを発表。その1か月後には、少子高齢化が進む地方の交通を大きく変えるような新しいコンセプトのモビリティーの提案を行った。


トヨタに依頼してデザインマネージャーを引き抜き
デザインを通じて、これからの世界市場における乗り物のあり方を提案し続け、それを企業のブランド力強化につなげる。その陣頭指揮を取っているのが、2014年7月に同社のデザイン本部長となった長屋明浩氏だ。
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