併せて、「商品や企業の宣伝臭を強く出すとソーシャルメディアでの拡散が見込めないと考え」(大槻氏)、商品名や企業名は極力出さず、動画の最後に商品と社名のロゴを出すだけにとどめた。営業部門などを中心に社内では異論も出たが、「初めての試みだから挑戦させて欲しいとお願いして」(後藤氏)、押し切った。

 ソーシャルメディア上での拡散や、動画を営業の現場でも活用することを考え、制作会社が当初仕上げた約13分の動画を約2分半に再編集して公開した。「家族のきずなについて考えさせられた」「離婚しようと思っていたが思い直した。ありがとうございます」「こんな動画を作るメットライフっていい会社だよね」などのコメントが、Twitterを中心にソーシャルメディア上にあふれ、冒頭に示したように再生回数も上昇の一途。肝心の商品の売れ行きも、「2015年4~9月期の収入保障保険の新規契約件数が、前年同期比で2割増」(コンシューマーマーケティング本部プロダクトマーケティング部マネージャーの小高猛氏)になった。後藤氏は、「予想以上にうまくコトが進んだ」と語る。

社内の価値観すり合わせも狙う

 実は今回のネット動画の公開には、もう1つ狙いがあった。社内の価値観を改めてすり合わせることである。

 メットライフ生命は、従業員の“出入り”が多い外資系保険会社で、かつ米国親会社の経営統合によってアメリカン・ライフ・インシュアランス・カンパニー(アリコ)日本支店を実質上吸収した。日本の保険会社などと比べて、従業員の出身母体や価値観が多様で、メットライフ生命としての価値観やブランドイメージを一丸となって打ち出しにくかった。

 そこで、今回の動画をきっかけに、「営業や商品開発の現場などで働く社員にも、家族のきずなを大切にするという、メットライフが重んじる価値観を改めて定着させる」(後藤氏)ことを狙った。社内のパソコンからはセキュリティ上、YouTubeにアクセスできないため、QRコードを印刷したカードを用意し、スマートフォン経由で今回の動画を見てもらえるようにしたのだ。その結果、社外だけでなく社内でもこの動画が話題になり、「営業の現場での積極的な活用も進んだ」(小高氏)という。

 今後も、今回同様、既存商品をリニューアルするときや、企業ブランドを訴求する際、「ネット動画を使ったマーケティングに積極的に取り組む」(大槻氏)考えだ。

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