共働きの多忙な3世帯の協力を得て、部屋にカメラを設置して平日の夕食の様子を撮影。保育園から一緒に帰宅するなり母親に甘えたがる子供をなだめすかしながら夕食の準備に追われる、そんな気が休まらないワーママの姿を追いかけた。そこで食卓3カ条を実践してもらったところ、Aさん家族は、食卓滞在時間が1.7倍、会話数は1.2倍、笑顔の数は1.3倍に増えた。そんな“ボンカレー Before After”ムービーである。
この動画への誘導ルートとして活用したのが、Webニュースメディアに社名を明記して出稿したPR記事だ。ワーママ1000人を対象に実施したアンケート調査の結果なども交えた読み物を3つのサイトで公開し、記事内でインライン再生できる動画を張って誘導をかけた。再生回数は第1弾に及ばないものの、完視聴率は大幅にアップしたという。
「熟読率」測定し深い分析
さらに昨年暮れから年明けにかけての15日間、3つのサイトの記事の「熟読率」を測定できるツールを導入し、動画の完視聴率との相関についても調査した。
導入したのは、デジタルPR支援のビルコム(東京都港区)が開発した「Content Analyzer」。従来の「滞在時間」では、離席している間や、ブラウザーが最前面に出ないまま他の作業をしている間でも、アクセス中とカウントしていた。同ツールでは、最前面に表示されたサイトに対してマウスやキーボードが操作された時間を「注目時間」とし、それに「スクロール動作」を掛け合わせて、記事のどこまでが表示されて読んだかを示す「熟読率」を算出する。
3つのサイトの記事では、「壮絶な食卓リアル事情」というやや煽り気味のタイトルを付けた記事がビューを集め、熟読率も高かった。だが熟読率が一番低かった教育・受験情報のニュースサイトが、動画の完視聴率は一番高いという結果だった。
記事タイトルに引かれて最後まで記事を読んでくれる人が多いが、その勢いで動画を最後まではなかなか見てくれないのが前者とすると、後者は堅い内容で熟読率は低いが、熟読してくれた人は最後まで動画を見てくれる人が多い、と言える。
垣内氏は、「閲覧数だけでは分からなかった記事の読まれ方が把握でき、メディア選定やタイトル付け、動画の配置場所などを考える上で参考になる」と語る。今後、コンテンツの熟読率や誘導精度をさらに高めて、デジタルPRの効果を上げていきたい考えだ。

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