ブロックチェーンの第二の応用対象は、IoT(Internet of Things)だ。様々な機器やデバイスをインターネットで接続する考え方で、モノのインターネットと訳されており、最近は、日本でもIoTに対する関心がますます高まっている。しかし様々な機器をインターネットで接続するだけで直ちに生産性が上がるわけではない。これまでのIoTは、電力システムの管理など、大規模であるがゆえに運営コストが嵩んでもそれなりの恩恵がある付加価値の高い活動に対する応用が中心であった。しかし、ホームオートメーションのような局所的には規模が小さな分野にIoTを導入しようとすれば、運営コストが高くては実用的ではない。

 現在考えられているIoTシステムの多くは、センサーから得られる情報をクラウドに送信し、そこで中央集権的にコントロールするものだ。しかし、このような方法では将来、コスト低減の観点で限界が出てくるだろう。そこで、ブロックチェーンを用いてシステムを運用することでコストを下げるアイデアが提案され始めている。

 さらに、企業の経営を、ブロックチェーンを用いて自動的に行おうという構想もある。これは、DAC(Distributed Autonomous Company)と呼ばれるものだ。簡単に言えば、DACは人を一切介在せずに自動的にビジネスを回すための仕組みの総称で、分散自律型組織である。究極的には、ウェブ上のショップはすべてブロックチェーンによって運営される自動運転企業になるだろうという予測もある。

 これまでのロボットは、主として人間の肉体労働を代替するものであった。しかしブロックチェーンの応用によって、人間の意思決定に関わる部分も自動化することが可能になるかもしれないのである。ただし、こうしたことは、現在ではまだ空想の域を出ていない。

 2015年においては、銀行が仮想通貨を見直す動きが顕著に進んだ。シティバンクをはじめとした大銀行が、自ら仮想通貨を運営する実験を始めている。この動きは2016年には急激に広がり、加速するだろう。また前述したナスダックの実験に見られるように、ブロックチェーンの技術を、通貨以外の金融取引に応用しようとする試みもなされている。

 2016年においては、新興国や開発途上国など、銀行の支店システムが整備されていない地域で、仮想通貨が送金手段としてどのように広がっていくかが注目される。フィンテックとの関わりで新しい利用法が開発されることも期待される。

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