成功するのは一番熱心でダメなやつら

 この頃、ニューヨークの旅の間に、彼らはユニオンスクエアベンチャーズの共同創業者で有名なベンチャーキャピタリストのフレッド・ウィルソンに会った。もしエアビーアンドビーに将来性を見出してくれる投資家がいるとしたら、ウィルソンしかいないとグレアムは思っていた。

 ウィルソンは多くのウェブ2.0スタートアップに早くから投資していた。チェスキーたちに会ったあと、ウィルソンは投資を見送った。ウィルソンのチームはチェスキーたちを気に入ったものの、これが巨大市場になるとは思わなかった。「居間の床にエアマットを置いたらホテル替わりになるなんていう発想に行きつかなかった。だからこの話を追いかけなかった」。ウィルソンはのちにそうブログに記していた。

 その間中ずっと、3人はYコンビネーターの模範学生だった。チェスキーとゲビアは毎週ニューヨークに飛び、学べることをすべて学んでいた。ニューヨークから飛んで帰って荷物を引きずったまま、早めにYコンビネーターのイベントに到着することもあった。3人はしょっちゅうグレアムに会いたがった。

 「毎週グレアムを捕まえて個人授業の時間にしていた。個人授業の時間なんてなくてもね。誰よりも早く来て、誰よりも遅くまで居残っていた。厚顔無恥で、好奇心旺盛だったんだ」とチェスキーは言う。グレアムも、まさにそうだったと語る。「たしかに、あの3人とはものすごく長いこと話したよ」。グレアムはこれまでYコンビネーターに参加する数百というスタートアップを見てきて、面白いパターンに気がついた。一番熱心な人間が、誰よりも成功するということだ。

 「いかにも優秀なタイプが成功するわけじゃない。成功するのはたいてい、ダメなやつらだ」

 デモデーが近づき、サイトに人が集まる兆しが見えはじめた。グレアムの言う「希望のうごめき」が見えたのだ。予約数が上がり始め、一日20件を記録した。ニューヨークでのホスト訪問とゲリラマーケティングが功を奏し、それが数字に表れていた。予約と売上がサイトに流れ込んだ。その数週間後、彼らは「ラーメンが食べられるくらいの利益」を上げていた。洗面所の鏡に貼って3カ月間見続けていたグラフの売上目標を達成した。週に1000ドルだ。

 3人はラウシュ通りのビルの屋上で、シャンパンで乾杯した。

著者プロフィール

著者=リー・ギャラガー/フォーチュン誌アシスタント・マネジング・エディター。フォーチュン誌が選ぶ「最もパワフルな女性サミット」の共同議長を務め、「40歳以下の40人」も担当。CBSの「This Morning」、MSNBCの「Morning Joe」ほか、CNBCやCNNでもコメンテーターを務めている。ニューヨーク在住。