なんとなく好きな100万人より、熱烈に愛してくれる100人

 学ぶことは無限にあったが、3人はすべてを吸収しようと励んだ。はじめに、グレアムは2つの重要な教えを授けてくれた。まず、グレアムはチェスキーたちに利用者数を聞いた。

 3人は、それほど多くないんです、たった100人くらいですと答えた。心配するな、とグレアムは言った。

 「なんとなく好きになってくれる」100万人より、「熱烈に愛してくれる」100人のファンのほうがはるかにいい。それは、規模と成長がなによりも優先されるシリコンバレーの常識に真っ向から反する教えだが、3人にはその言葉が腹に落ちたし、希望になった。

 次に聞いたのが利用者のことだ。ユーザーはどこにいるんだ? 場所は? ほとんどがニューヨーク市です。グレアムは一瞬黙って、ニューヨーク市にいる、と繰り返した。

 「そうか、君たちは(シリコンバレーの)マウンテンビューにいて、ユーザーはニューヨークにいるんだな?」。3人は顔を見合わせ、またグレアムを見た。「はぁ」

 「こんなところでなにぐずぐずしてるんだ?」。グレアムは言った。「ニューヨークに行け! ユーザーのところに」

 そこで、ユーザーに会いにいくことにした。それからの3カ月間、ゲビアとチェスキーは毎週末ニューヨークに飛んだ。(CTOの)ネイサン・ブレチャージクがコーディングに集中するあいだ、チェスキーたちはユーザーを一人ひとり訪問した。雪をかき分け、すべてのユーザーに会うか、そこに泊まるかした。ユーザーとの対話から多くを学んだが、ただ彼らの居間におじゃましたり、自分たちのサイトを使う様子を観察したりするだけでも、はるかに多くのことが学べた。

 チェスキーとゲビアはすぐに2つの弱点を発見した。ひとつは宿泊料をどのくらいにしたらいいかわからない人が多かったこと。もうひとつは写真だ。写真は大きな問題だった。