息子がいれば、息子に会社を継がせたかった

田邊会長は、創業家出身ですが、持ち株比率はとても少ないですね。

田邊会長:とても少ないですよ。1%程度です。親父が創業したんですが、死んだ時に相続税を株で物納したものだから、ほとんど手元に残らなくなってしまいました。死んだ時点では株価は167円だったのですが、納税する時点では16円くらいに下がってしまった。しかし、死んだ時の株価で相続税が決められたものだから、株をほとんど手放さざるを得ませんでした。

株の保有比率から見れば田邊会長はすでに会社の「オーナー」とは言えないとは思います。それでも、「オーナー」として、ご自身で後継者は選びたいですか。

田邊会長:うん。私は息子がいないんですよ。娘だけなんです。娘も今、取締役をしていますが、息子だったら多分、後継として教育していたと思います。娘は結婚していませんし、娘婿を後継ぎにする事もできません。

息子がいれば、ファミリーで会社を引き継いでいきたかった。

田邊会長:そうですね。僕の経験から言えば、娘でもやれないことはないと思うんですよ。会社経営って難しい問題じゃないですから。それでも、他にいい人がいれば、よそから入れた方がいいと思っています。今、メーンバンクから来ている人がものすごく優秀ならそれがいい。準メーンの三菱東京UFJ銀行からももう1人、招きたいと思っています。その方が、お互いに牽制しあってバランスが保たれますから。

後継者を育てられなかった責任はあまり感じない

「社内には後継者候補にふさわしい人材がいない」とのことですが、後継者を育てられなかった責任は感じていませんか。

田邊会長:それはあんまり感じていません。しょうがないと思っていますね。社内では英語を話せる人があまりいなんですよ。海外事業が大きくなったのに、英語ができない人は具合がよくないでしょう。

銀行から後継者候補を受け入れることに抵抗はなかったですか。

田邊会長:どうせ後継者がいないのですから、すんなり受け入れました。これまでは、銀行に干渉されるような状態ではなかったわけです。経営が危ないからメーンバンクが口を出すようなことはなかった。しかし、今回は、三井住友が打診してきた。

 社内で後継者を育てるのは難しいんですよ。やっぱり、外で鍛えた人が入ってやった方が、一番合理的ですよね。社内にいると、どうしても甘くなっちゃうんです。

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