チェルノブイリ、福島第一原発の事故以来、ドイツを除く世界各国では、相変わらず原発を新規建設し続けている。特に、中国の原発拡大状況は、著しい。ドイツは、2022年の脱原発にターゲットを絞ってはいるものの、それで一段落するのではない。むしろ、その後の廃炉処理や管理のほうが、重要であり、非常に難しい課題である。

変化するドイツの原子力への認識

 放射能汚染物質の処理は、ドラム缶に詰め込み、地殻変動の少ない安定した地下の奥深くに保管しておけば安心、というわけにはいかない。最低数十万年は、放射能廃棄物が、空気、地下水をはじめとする自然環境を汚染しないように継続保管管理することは、並大抵の心構えでは出来ないが、人類の将来に向けて、これ以上の地球上の放射能汚染はどんなことをしても、避けなければならない。

 医療用能斜線物質、核燃料が準備された時点から、使用状態、使用後の処理、保管場所への移動、収納保管後の定期チェック詳細を時系列に記録した透明性あるデータ管理は必須である。

 歴史に登場したときから「機密」という言葉が付きまとっている原子力であるが、1990年前後から、ドイツ連邦、各州の公の放送機関ARDやZDF、公のラジオ放送のドイチェランドフンク、独仏共同運営の公共放送Arteなどが、放射汚染に関する大小のトピックスを取り上げ、継続的に報道している。

 欧州の原発内の冷却水処理過程等の支障に始まり、2010年4月8日のイランのプルトニウム精錬プラントへの米国によるソフトプログラム攻撃、今年3月22日のブリュッセルでのテロ事件の際に原発がターゲットに入っていた事実など、一般市民が原子力利用の現状を多角的に察知できる情報を提供している。

 一度始まれば、原子力の核分裂の連鎖反応を止めることはできない。その効力を私たちが、直接、間接的に日常生活に利用していることは、否定できない事実である。原発を含む原子力利用を賛成反対という近視眼的見方で片付けることは、もはやできない。

 チェルノブイリの事故から30年、そして福島第一原発爆発事故から5年。時が経ては、何とかなるという生易しい考えは、一切通じない。前者の場合は、プルトニウムが崩壊し、人体の呼吸循環器官に非常に有毒なアメリシウムが、事故現場および周辺関連地域に増えていることが、最近新たに確認されている。ちなみにドイツは、チェルノブイリの事故現場を覆う新規ドームの建設資金の一部として100百万ユーロ(約126億円)を提供している。

 原子力利用の問題点、その改善のための技術革新を各国で協力し、情報を公表していこうとする意識は確かに高まっている。しかし、ドイツの原発降板、その代替としての再生可能エネルギー発電への移行の道のりは、果てしなく長い。