AIBOに宿る魂とは

 メカとはいえ、きちんと弔いをした上で部品を取り出す。乗松さんによればAIBOに宿る魂とは、「メカそのものの霊魂」ではなく、AIBOに乗り移った「飼い主の気持ちや念」だという。

 AIBO発売当初は、ロボットと人間との関係性が、ここまで親密になるとは誰も想像がつかないことだったという。しかし、発売からかれこれ20年が経過し、日本におけるAIBOはすでに「家族そのもの」であり、「うちの子」になっている。

 AIBOが家族になり得たのは、与えられた仕事を完璧にこなす産業用ロボットと違い、“不完全に”作られているからだと、乗松さんは言う。

 「まず、主人の言うことを聞かない。『お手』と言っても、無視される。『可愛いね』と言っても反応してくれない。そうしたわがままな仕草を主人はむしろ、AIBOに心があるかごとく感じてしまうのです。今の核家族社会にあってAIBOは完全にオーナーの心の隙間を埋める存在になっています」

 乗松さんは、工業技術の発達とともに人間とロボットとの間に、新しい関係性が生まれつつあると指摘する。

 たとえば、掃除ロボットの「ルンバ」に愛情を抱き、愛玩する人もいる。ルンバは円盤型のボディにセンサーとコンピューターが内蔵されて、自律的に部屋の清掃を行ってくれる。健気に部屋を掃除して動き回る姿は、どこか有機的である。

 「今後はルンバなどの葬式も十分考えられるでしょう。ユーザーの心が入る余地があるものはすべて供養の対象になると思います。人間とロボットとの関係性は、時代の流行などに影響を受けながら、常に変化しているのです」