去る8月下旬、東京ビッグサイトで開催された「エンディング産業展」に行ってきた。エンディング産業展とは、主に葬送に携わるプロ(寺院、葬儀社、僧侶、仏壇・仏具店など)のための見本市である。4回目となる今年は、3日間の開催で2万5000人を動員した。
日本は長期にわたる多死社会に突入しており、葬儀業界は安定成長を続けると見込まれている。現在、その需要を支えるのは60代後半の団塊世代である。
かつては葬送にまつわるアイテムやサービスといえば、保守的で、アナログで、雰囲気が暗く、画一的なものが多かった。しかし、今回のエンディング産業展は現代の葬送事情を反映した、なかなか刺激的な内容であった。
クリスタルがあしらわれたド派手な骨壺や、表面にプリント加工が施された棺桶など、「どこの誰が買い求めるんだ」と思えるような葬送アイテムも、きっとそれなりにニーズがあるのだろう。葬送が簡素化・縮小化する一方で、現代人は「自分らしい」葬送を求める傾向にあるように思う。



葬式の流行り廃りは、結婚式を先行事例にするとよく見えてくる。結婚式の場合、バブル全盛期にはホテルの大宴会場を使った派手な演出がもてはやされた。当時は、地縁血縁を強く意識し、「見栄」や「世間体」を重視した。冠婚葬祭には惜しげもなくカネを使ったものである。
だが、バブル崩壊後は「人前式」「レストランウェディング」など、規模・演出面は抑え気味になりつつも、そこに「自分達らしさ」を見出す式にシフトしていった。
葬式も同様だろう。参列者を沢山集め、複数の僧侶を呼んで読経してもらい、いい戒名をつけてもらうといった世間体を気にした葬式は、都会ではほとんど見られなくなっている。こぢんまりとしながらも、個性を重視した葬式やお別れの会へと移行してきているのだ。
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