そもそもお盆とは、ご先祖さまの霊をこの世に迎え、回向を手向ける仏教行事である。「霊魂」というと都会の人は非科学的と思うかもしれないが、お盆は1年の中でもっとも死者の魂を“可視化”できるチャンスでもある。

 たとえば、この時期、仏壇の前に精霊棚を設け、死者がこの世とあの世を往復するための乗り物「ナスの牛」や「キュウリの馬」を用意する。同時に、自分たちもお墓詣りをする。精霊流しをする地域もある。そして、お盆の明けには再び、ご先祖様を、あの世に送り届けるのである。

 お盆の時期には、不思議と大きな弔いごとが重なっているのにお気づきだろうか。

 たとえば、1945年8月15日は終戦日である。日本武道館では政府主催の全国戦没者追悼式が実施される。追悼される対象者は、戦死者や空襲・原爆などで死亡した一般市民などおよそ310万人にも及ぶ。

 また、1985年8月12日には日本航空123便が御巣鷹の尾根に墜落し、乗員乗客520名が死亡している。

 私は日航機事故から11年目の1996年のお盆に慰霊登山に参加させていただいている。御巣鷹の尾根には「昇魂之碑」が立っており、私は当時、その現場にいて亡き人の魂が空高く昇っていくような錯覚がしたものだ。

 改めて、生者と死者の接点がお盆なのだと思わざるをえない。

 京都の場合、お盆のハイライトは8月16日夜に実施される「五山の送り火」である。送り火は、戻ってきた死者の魂を燃え盛る炎にのせ、あの世に戻っていただく仏教儀式である。京都人以外がしばしば「大文字焼き」と呼ぶ。だが、京都人はそれを嫌がる。あくまでもこの世とあの世を橋渡しする意味での「送り火」であることに京都の人はこだわっているのだ。