ボロボロの竹

 それだけ京都に魅力を感じる人が多いということは、地元民にとっても嬉しいことであり、また、消費で潤うことは悪いことではない。

 京都人は「イケズ」といわれることもあるけれど、観光客にたいしては他の地域以上に親切だと思う。私も頻繁に、観光客から道を聞かれるが、現地まで案内することもあるし、拝観寺院ではないうちの寺に紛れ込んできた場合でも、なるべく庭などを見ていただくようにしている。

絵馬にメッセージを寄せるのもほとんど外国人だ
絵馬にメッセージを寄せるのもほとんど外国人だ

 遠くからやってきた一見の客人に、「すてきな庭だ」「いつまでもこの場所にいたい」などと褒められると嬉しいものである。

 しかし、昨今、観光客の増加が負の側面ももたらしているのも事実だ。

 大河内山荘から嵐山方向へと抜ける名所「竹林のトンネル(小径)」は嵯峨野巡りの定番中の定番であり、とくに外国人比率の多いスポットだ。感覚的にはなるが、訪問者の国籍は日本人1にたいし、外国人5くらいの割合だろう。

外国人観光客でひしめく竹林のトンネル
外国人観光客でひしめく竹林のトンネル

 先日、この竹林の小径が、テレビのワイドショーや新聞で一斉に取り上げられる事態となった。多数の竹の表皮が刃物で傷つけられている、との報道内容であった。観光の記念として、ナイフなどで名前などを刻み込んでいるという。

 竹林の一角の寺で私は暮らしているが、その報道に接した時は「今さらこのニュース?」と思った。竹への落書きは私の子どもの頃からあったからだ。しかし、この1年ほどで、急激に落書きが増えているようだ。

 原因は近年、竹林の一角を切り開いて散策路が新たにつくられたことによる。散策路は、地元の観光人力車屋さんが整備したものだ。

観光客でひしめく渡月橋付近。人力車の後部にマナー喚起を促す注意書き
観光客でひしめく渡月橋付近。人力車の後部にマナー喚起を促す注意書き

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