ナイフで傷つけられたとみられる竹

 大阪が震度6弱の地震に見舞われたその日、嵐山・嵯峨野界隈は不思議な静寂に包まれていた。普段は平日休日を問わずに観光客でひしめく観光コースに、人の姿がほとんど確認できない。嵯峨野へのアクセスに便利なJR山陰本線や阪急電車が運休になったことが、原因だ。

 一方で、1両のみのワンマン運転で知られる嵐電(京福電鉄)は地震後、ものの1時間ちょっとで復旧し、通勤客らが発信するSNS上では、「恐るべし嵐電!」「嵐電最強」との声が聞かれた。参考までにデータを示すと観光客の京都市内の移動手段は市内バスが30.2%、JRが9.1%である。それにたいし、京福電鉄はわずか1.6%(いずれも京都市観光協会調べ)。普段の存在感は薄いが、この日は実に頼りになる地元の足であった。

 嵐電とバスを乗り継げば、嵯峨野へのアクセスは比較的容易なはず。しかし、この日の観光客は、普段の5分の1くらいだったかもしれない。心理的な影響もあったのだろう。
 地震によって修学旅行のキャンセルも相次いだせいか、その後も数日間は静かな状態が続いた。京都におけるインバウンド需要が熱を帯びる10年ほど前の、静かな嵯峨野にタイムスリップしたような感覚になった。

 地元で生活をしていれば、住環境はもちろん静かなほうがよい。しかし、観光客あっての京都である。

 国内外からの観光客誘致は京都市をあげた施策だ。市は2000年、観光客5000万人構想を発表すると、2年前倒しの2008年には目標を突破。その後も伸び続け、2016年までの3年間で連続して5500万人超えとなっている。うち外国人は前年比37.1%アップの661万人。インバウンド増の後押しもあり、観光消費額は前年比11.9%増の1兆862億円となっている。