海外ブランドもターゲット
大郡動力控制技術
中国のEV用モーターで8%のシェアを持つという大手の一角。15年から磁石メーカー、烟台正海磁性材料の傘下に入る。16年の売上高は約7億人民元。

現状の生産能力と、今後の成長投資への計画を教えて下さい。
徐性怡総裁(以下、徐):現在は年間4万台程度の出荷ですが、生産能力は10万台あります。20年には50万台の生産能力を調え、30万台の出荷を目標としています。投資金額は5億元です。
日立製作所グループや日本電産、明電舎など日本のモーターメーカーと、大郡など中国のメーカーの技術力を比較してどのようにみていますか。
徐:まだ中国の技術は日本とは比較できるレベルにはないですね。量が出ていないので、コスト面でもまだ負けています。
我々中国企業の強みは、レアアースなど資源調達の面で有利ということ。そして何より中国市場の理解度でしょう。中国の開発のスピードは速い。外資の伝統的な自動車メーカーは完璧に作り上げた製品を市場に出す。一方、中国の市場は、まず商品を出して、順次改善していく。こちらの方が市場シェアも高くなる。なぜかというと、中国の消費者は実はどういうクルマが欲しいのか、自分自身まだよく分かっていないんです。多少製品に問題がある可能性があっても、とりあえず試してみようという傾向もある。だから商品を使ってみてもらい、顧客の声を汲み上げながら改良していく方が良いんです。
今は中国車への供給のみだと思いますが、海外ブランド車への供給も狙っているのでしょうか。
徐:ご存じの通り、海外の完成車メーカーは中国で生産するために中国メーカーと合弁を組む必要があります。中国車メーカーは、コスト削減のために合弁相手に地場メーカーからの部品の共同調達を求める傾向が強くなっています。
大郡も、海外ブランドが要求する品質に応じたサンプル品をつくっているところです。こうした取り組みで大郡の技術力はどんどん磨かれていくでしょう。コスト競争力も上がっていきます。
とはいえ、中国にはまだ先進的な技術が足りていません。海外のメーカーと提携をして、中国向けのEVなど専門的な技術的開発を共同で進めたいとどの会社も考えています。
大郡として興味があるのはどんな技術を持つメーカーでしょうか。
徐:トランスミッションです。中国の製品は小型化が進んでいないし、静音性もない。あとはモーター向けの半導体や電子部品。例えば、村田製作所などはモーターの性能を上げるための先進的な取り組みをしていると思います。
ただ、私の私見ですが、中国市場に入ることをためらっているメーカーも多い。日本企業はもう少し開放的になって、前に一歩進んでほしいと思っています。
HVでは日本にかなわない
中国のEV市場の先行きをどう見ていますか。
徐:日本などの伝統的な自動車メーカーは、HV(ハイブリッド車)の方が優位性は高く、EVの普及は時間がかかると考えていますよね。一方、IT産業からの新規参入組はHVに将来性がないとして、EVに傾注している。
私の考えでは、将来的には間違いなくEVです。ただ問題点もたくさんある。バッテリーの重さ、コスト、充電時間の長さ。そして何より、消費者の嗜好がまだ切り替わっていないでしょう。バッテリー切れへの不安はまだぬぐえていない。本格的普及には8〜10年といったところでしょうか。
HV向けのモーターを試しにつくってみる考えはないんですか。
徐:中国の技術ではまだまだ難しいでしょう。この面では日本の技術がはるかに上です。ただし、充電設備の少ない郊外ではHVが必要です。広州汽車集団と連携してHVモーターの開発にも取り組んでいます
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