出資金は副社長も知らない?
集めた資金の規模はどれくらいになるのでしょうか。
朱:本音なのですが、本当に知りません(苦笑)。
本当に知らない?
朱:今まで李会長がいろいろな会議で言っているのが、「200億人民元(約3252億円)がないと車を造るなんて考えるな」。それはご参考までに(笑)。


上海はサプライヤーの宝庫
部品を供給するサプライヤーの70%が外資企業と聞いています。伝統的な日本の完成車メーカーは、地場で懇意にするサプライヤーと強く結びついているケースが多いのですが、大きく違いますね。EVの肝であるバッテリーやモーターの調達はどうされているのでしょうか。
朱:上海を中心点として半径300kmの円を描くと、その中に世界トップレベルのサプライヤーの90%が拠点を置いています。物理的に調達は難しくはないんです。蔚来としてのハードルはサプライヤーをどう探すかではなく、トップレベルの部品から、どうやって品質も外観も顧客体験も優れた1つのクルマにつくり上げるかということです。バッテリーやモーター、そして電子制御のシステムは、蔚来は自社開発をして、南京の自社工場でつくっています。
EP9のほかに、既にSUV(多目的スポーツ車)型EVのES8発売を打ち出しています。それぞれの販売戦略や目標を教えて下さい。
朱: まずEP9について。既に初期出荷6台の販売先は決まっています。これからさらに10台を販売します。価格は税抜きで148万ドル(約1億6000万円)。
ES8についていえば、100%アルミボディの車体で、ライバルは米テスラ・モーターズの「モデルX」や英ジャガーランドローバーのSUVです。価格は今年後半に発表しますが、ライバルよりも買いやすい価格になるでしょう。ターゲットは中国の(北京や上海など)1級都市、(各省都など)2級都市の、人数が多めの家族。一人っ子政策が終わり、7人シートのSUVが中国の市場ではチャンスがあると思っています。
長期的な会社のビジョンを教えて下さい。販売台数の規模によって取るべき戦略も大きく変わってきます。
朱:販売目標は特にありません。中国には「但行好事、莫問前程」ということわざがある。正しいことを正しい方法で行えば、これからどうなるかは問わないという意味です。その結果として販売台数が出てくる。
自動車産業の歴史が浅い中国で、しかも創業3年に満たない会社が、本当にこれだけ高性能なEVを量産できるのでしょうか。
朱: クルマづくりの中で一番大事なのはやっぱり人。今、蔚来の現場には、世界屈指のプロが集まっています。その人材が持ってくる経験や基準がすごく役に立つ。こうした人材が造るクルマは信頼できる品質になると思います。
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