離島からあらゆる店が無くなる?
ポイントは「空に道は必要ない」という点にある。
クルマは基本的に、陸の上でも道路が敷かれている場所でないと走れない。だが、空飛ぶクルマは違う。もちろん、あまりにも空飛ぶクルマの数が増えたら渋滞はすると思うが、自動運転であれば最大限、回避はできるはずだ。
もし近い将来、世界のデフォルトが空飛ぶクルマになるとしたら、今ある以上の道路を地上に造る必要はなくなるのだ。インフラにかけるコストを大幅に圧縮できる。
日本でこそ、あらゆる地域に道路インフラが整っているが、世界を見ればそんな地域の方が少ない。ところが、そんな場所にも人は住んでいる。これまでは歩くか、牛や馬を使わなければ思うように移動できなかった人たちも、空飛ぶタクシーを使えば、いつでも望む場所に行ける。急病人が出た場合などは特に役に立つだろう。
人の移動だけではない。物資の調達も圧倒的に容易になる。インターネット通販を利用すれば、山岳地だろうと離島だろうとあらゆるモノが手に入る。もしかしたら、離島に全く店がなくなっても、誰も困らないかもしれない。空飛ぶクルマに届けれてもらえばいいからだ。
社会の「劇薬」になる可能性も
空飛ぶクルマの登場は、社会のあり方や私たちの暮らし方を根底から変える「劇薬」になる可能性を秘めている。
ただし劇薬なので、使い方を誤ると悪い方向にも働く。大規模量販店の登場で、個性的な街の個人店がどんどん消えたように、地球上から「個性」がどんどん失われていくことにもなりかねない。それが良いか悪いかは判断が分かれるところだが、記者は古いタイプの人間なのか、どうも寂しく感じてしまう。
もしこの「空想」が実現するとしたら、企業は今、何をすべきか。空想に過ぎないとはいえ、少し考えてみても損はないだろう。
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