2020年に誕生?ウーバーの空飛ぶタクシー

 その未来のサービスを図にするとこんな感じになる。

 これまで同社は、A地点(出発地)からB地点(目的地)まで移動したいユーザーに対し、一般の人が運転する自動車を配車するサービスを展開してきた。同社が交通インフラを所有しているわけではなく、移動手段が必要な人と、それを提供したい人とを照合するマッチング・サービスを提供してきたわけだ。

 空飛ぶタクシーを使った新サービスは、顧客をA地点からB地点まで、ほぼ直線に近い最短ルートで届けられる点に最大のメリットがある。クルマであれば、陸に敷かれた道路をくねくねと曲がりながら行かねばならないが、空に道路はない。文字通り、一足飛びで行けるのだ。

 機体の開発では既にブラジルの旅客機メーカーなどとの提携が決まっており、2020年までに試験飛行を実現させるとしている。

ウーバーが思い描く空飛ぶタクシーの姿
ウーバーが思い描く空飛ぶタクシーの姿

 当初こそ、クルマと空飛ぶクルマは別々の車体になるだろうが、将来的には同一車体、つまり陸も走れるしそのまま空も飛べるクルマになる可能性が高い。それが自動運転なら……。そこに広がるのはもはや、サイエンスフィクション(SF)小説の中でしか見たことのなかった世界だ。

空を飛ぶことにこだわるシリコンバレー

 ウーバーだけではない。航空機大手の欧州エアバスや、米グーグル共同創業者のラリー・ペイジ氏が出資するシリコンバレーのベンチャー企業、キティホークなども、空飛ぶクルマ(ただしキティホークは「個人向け飛行機」という位置付け)の開発を目論んでいる。

 エアバスはサンノゼ国際空港近くに開発拠点を構え、急ピッチに設計を進めている(計画について解説した動画)。キティホークは4月に試験飛行を終えた。その様子は動画で確認できる。

 それからもう1社、所在地はシリコンバレーではなくボストン近郊だが、シリコンバレーの投資家たちから注目を集めているのが、トップ・フライト・テクノロジーズだ。出張中に創業者に電話でインタビューすることができたので、本誌の特集でも紹介している。エンジンで発電した電気をバッテリーにためる「ハイブリッド式」を採用しているのが特徴だ。動画はこちら

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