李ヘジン:米国の会社は統一した技術とサービスで、世界を統一していく方向性です。しかし、文化も人々の考え方も国ごとに異なります。インターネットのサービスにおいても、国ごとに変えていくような「多様性」が必要なのだと思います。

 私たちはそちらに身を置いて、国ごとの文化や人々の考えを理解しながら、うまく多様性を守っていきたい。それが唯一の差別点というか、武器になるのだと思っています。

 ところで、今回は海外メディアの取材としては初めてと聞きました。そもそも、韓国メディアの取材にもほとんど応じていないということですが、何か理由があるのでしょうか?

李ヘジン:これは自分の性格の問題だと思います。今、この場ではいろいろと話をすることができていますけれども、普段、大勢の社員の前で話す時でも、私はかなり緊張する性格で、本当にお腹が痛くなってしまうんですね。ネイバーを創業してから17年経ちますが、未だに治りません。

 だから、創業する時、周囲から「社長に向かない」とよく言われました。かなり悩んで、自分を変えたいと思い頑張ったんですけれども、やっぱり基本的な性格は変わらないものです。ですから、私はサービスを作るなど得意なことに集中して、できないことはできないと認め、人に任せようという方針でやってきました。

「ちょっと寂しい思いもしています」

 李さんは陰のボスで強大な権力者、という印象でしたが、とても物腰が柔らかく、いじわるな質問にも嫌な顔せずに丁寧にお答えくださるので、驚きました。

李氏は撮影時も我々の相次ぐ注文に快く応じてくれた

李ヘジン:今回、苦手な取材にお応えした理由はそこにあるのかもしれません。私が「種類株」にこだわったせいで上場が遅れたとか、私が陰で全部決めているとか、そういった誤った情報が日本で出回っていると聞いて、それは、正すべきだと思ったんですね。

 先ほどもお話ししたように、私はネイバー株を4%しか持っておらず、構造として権力を振りかざせる状況にはありません。

 ネイバーやLINEの社員の皆さんが私のことを尊敬してくださっている面は、あると思います。それは嬉しいことです。でも、LINEの決定事項はすべて、皆でディスカッションしながら、皆が納得いく結論を導いてきました。ご存じのように、出澤さんや舛田さんは非常に合理的で、私の意見に従順なタイプでもありません。

 そして、事業が軌道に乗ってからは、私は(LINEの)皆さんからあまり呼ばれなくなりました。日本で、好き勝手にやっているということですね。それは喜ばしい半面、ちょっと寂しい思いもしています(笑)。

(「李ヘジン氏インタビュー」編はこれで終わり)