李ヘジン:また、私には、2つの会社のオーナーであるとか、2つの会社を支配していたいとか、そういった思いはまったくありません。

李海珍(イ・ヘジン)
1967年6月生まれ、49歳。NAVER Corporation(ネイバー)創業者・取締役会議長、LINE取締役。1990年ソウル大学コンピューター工学科卒、1992年KAIST(韓国科学技術院)で修士号取得、1992年サムスンSDS入社。1999年ネイバー設立、社長就任。2004年より現職

 そもそも私のネイバー株の持ち分は4%しかなく、株主としてネイバーを動かせるような立場ではないんですね。会社にバリューを与えるような仕事ができているから働いているだけであって、もし、そのバリューが無くなったら、ここから去っていくべきだと思っています。

 株主が多国籍にまたがるボーダレスな時代に、株主構成だけを見てその企業の国籍を論じるのはナンセンスだと。

李ヘジン:そうですね。加えて、LINEそのものがまた別の海外の国へと進出していますし、そのために海外の人材も次々と受け入れています。今後はM&A(企業の買収・合併)もあると思います。なので、企業において国籍を問うことに、どういう意味があるのだろうか、とも思いますね。

 また、LINEの国籍を問う「意図」はどういうものなのか、とも思います。健全で、生産的な考え方ではなく、何か不要なイシューを作ろうとする意図がそこにあるのであれば、あまり(論じる)意味がないのではないでしょうか。

報酬「52億円」の理由

 LINEはネイバーの日本法人のメンバーが独自に企画して作り、世に出したものです。その意味でLINE自身が「日本製」だと主張してきました。一方で、「LINEを開発したエンジニアの中心メンバーはネイバー出身の韓国人なので、韓国製である」と指摘する人もいます。

李ヘジン:例えばiPhoneは誰が作ったのかというと、当然ですが、部品を製造したり、組み立てたりした人々の国籍のすべてが米国というわけではありません。また一般に、開発の上流に携わった重要なエンジニアやデザイナーの人々の国籍を調べた上で、米国人が多いから米国製、とは言いませんよね。

 iPhoneは、「メード・イン・USA」ではなく、「デザインテッド・イン・カリフォルニア」と銘打たれています。

李ヘジン:では、LINEは「デザインテッド・イン・トーキョー」ですね。

 一方で、経営陣の韓国人メンバーへの報酬が手厚いことから、LINEは韓国企業だと指摘する向きもあります。例えば、ストックオプションを含めた2015年度の報酬額は、取締役CGO(最高グローバル責任者)の慎(シン)ジュンホさんが約52億円と突出しています。上場前に公表されたLINEの主要株主一覧では、慎さんの持分比率は李さんの2.78%を超える5.12%と、個人としては1位でした。