水平分業を加速していた日産自動車

鈴木:一方で、日産も規模を追うのは必然だったと私は考えています。ただし、三菱を傘下に入れて販売台数を100万台増やしたところで、規模の経済の面では効果は少ない。

 しかし、地域を絞ればある程度の効果は出ます。例えば(両社が工場を持つ)タイ。それから、両社がまさに今、工場を立ち上げているインドネシア。このエリアは合理化できるはずです。

 また、電動化の観点では、規模は力を発揮します。EV(電気自動車)に使うモーターや電池は、規模の経済が効きやすい部品。

 その点で、三菱自動車のPHV(プラグインハイブリッド車)との相性は良い。「アウトランダーPHEV」はレンジエクステンダー型EV(発電用エンジンを積んだEV)に近いタイプ。今、ボトルネックになっている電池のコストを共同調達で下げるだけで効果がある。プラットフォームの共通化も期待できます。

 日産はルノーとのアライアンス当時から、日本の自動車産業の特徴である系列を中心とした垂直分業型の産業構造から、水平分業型に移行しようとしてきました。筆頭株主だった鬼怒川ゴム工業の株式公開買い付けに応じたのも、その一環でしょう。水平分業と電動化は相性が良い。戦略に一貫性があり、三菱自動車を傘下に入れるのも説明が付きます。

 日産・ルノーはグローバルの販売戦略で、バランスよく投資してきました。日本と北米、中国に強い日産、欧州と南米に強いルノー。その最後のピースがアジアでした。三菱自動車のアジアでのブランド力も、日産にとって利益があるポイントでしょう。

1000万台と200万台の間にいる各社の収益性が相対的に高くありません。

鈴木:中規模メーカーの米フォードやプジョーシトロエングループ、フィアット・クライスラー・オートモービルズ、ヒュンダイ、ホンダなどが該当します。いずれも打つ手を探しているのは明らかです。