士気を下げる、という批判

 問題となるのが、時に「そんな悲観的な見方をするなんて、チームの士気を下げるのではないか?」といった横やりが入ってくることだ。特に、プレモータム・シンキングに馴染みのない組織では、こうした横やりがあなたの上層部から入りやすい。

 日頃、社員の士気を上げることに気を配っている経営層や上位者からは、こうした懸念が示されるのは当たり前と言ってもいい。そうした観点からは「失敗を最初からイメージするなんて非常識だ」「ネガティブなことばかり考えていると士気が下がる」という考え方は当然出てくる。実際に、私もプレモータム・シンキングを紹介した経営者からはそのように言われたことがある。

 しかし、成功している企業のトップほど、その人が意識しなくてもプレモータム・シンキングをしていることが多い。豊富な経験と深い洞察力を持つ人は、様々な問題点に事前に気がつき、前もって対策が打てる。だからこそ成功している人が多い。しかし、誰もが同じレベルの経験と洞察力を持ち合わせているわけではない。

 だからこそ、チームで動く場合には、意識的にプレモータム・シンキングをするように仕向ける価値がある。こうすることで、深読みができ、先を見通せる人を増やす。つまり、組織全体として洞察力の底上げを図る。