ビジネスパーソンであれば、誰もが計画を立てる。
仕事の現場では、計画も立てずに、思うままに行動して成功するはずがない。たとえあったとしても、たまたま運が良かっただけのこと。それどころか、どんなに綿密に計画を立てても、必ず想定外の事態は起こる。
プロジェクトは大抵遅れるし、期待していたほどの成果を生まない。運が悪ければ失敗する。
原因はちょっと考えればすぐ分かる。人間が立てる計画には、必ず甘い見通しが入り込んでいるからだ。
極端に用心深い人を除けば、多くの人はどうしても自分に都合良く考えてしまうものだ。いわゆる“捕らぬ狸の皮算用”をするのが人間の性。行動経済学ではこれを「計画の錯誤」と呼び、人間がどうしてもとらわれてしまう罠の一つと捉える。
よくよく意識しないと、「計画の錯誤」の罠には実に簡単にはまってしまう。
あなたが何らかのプロジェクトをスタートさせる場合を考えてみよう。
大抵は、まず未来の成功をイメージするところから始めるはずだ。成功のイメージから入ると、自分が置かれている状況や、これから起こりそうなことについても、どこか楽観という名の“緩み”が入る。
誰しも、わざわざ辛いイメージをするのには骨が折れるからだ。努めて意識しなければ、こうした状況をシビアに見ることはできない。
こうして、どんなプロジェクトにも甘い見通しが入り込む。
あらかじめ想定しておかなくてはいけない人為的なミスや見込み違い、状況の変化などを十分に織り込むことができないため、私たちは、どこか現実からズレてしまっている実行プランにやみくもに取り組むことになる。
では、普段の仕事やプロジェクトなどで、こうした「計画の錯誤」の罠に陥らないようにするためにはどうすればいいか。
それが、個人ひとりの仕事やプロジェクトであれば、ここまで見てきたようにプレモータム・シンキングの方法論に沿って対策を打てばいい。基本は次の4つのステップだ。
- 未来の失敗をリアルにイメージする
- 未来の失敗を引き起こす原因や問題点をあぶり出す
- 問題点の対策を盛り込んだ新しい実行プランを立案する(甘い計画を締め直す)
- 新しい実行プランにコミットして、チェックしながら遂行する
これで、甘い見通しはカンタンにあぶり出すことができ、客観的な考え抜いたプランを作ることができる。
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