未来の失敗の原因をつぶして、成功を手に入れる

 こうした未来の失敗のイメージをリアルに想像する。そして、この失敗をしないようにするためにはどうすればいいかを考えていく。

 未来の失敗の逆である「成功」の理想像は、

・アウトプットを高い質で期限までに出すこと

次善の策は、

・そこそこの質で期限までに間に合わせること

ということになる。

 いずれにしても、「期限に間に合わせること」が重要だということに気がつくはずだ。
 ここまで来れば簡単だ。「期限に間に合わせるためにはどうすればいいか」という次のステップに入ればいい。後は、するべきことが芋づるのように見えてくる。

 イシバシくんは、アウトプットの質を完璧にすることにこだわってしまい、もともとのパーソナリティと相まって「期限に間に合わせること」をどこかに置き去りにしてしまった。

 いくら頑張っても、期限内にプランを提出できなければ、何も仕事をしなかったのと一緒だということに気がつかなかったのだ。

 顧客リストができない、と判断した時点で、何らかの手も打てた。私に相談するなり、周囲のベテランに相談するなりすれば、次善の策である「そこそこの質で期限までに間に合わせること」はできたはずだ。

 プレモータム・シンキングができていれば、もしくは私が一緒にそれをしていれば、こうした打開策を自分で掴めた可能性がある。

 今となっては取り返しのつかないことではあるが……。

 もし、何かの拍子にあなたの中に、そして部下の心の中にイシバシくんが顔を出したら、プレモータム・シンキングを試してほしい。

 何を怖がり、不安視しているのか、足をすくませている原因や恐怖、不安の正体が明らかになるはずだ。

あなたの近くにいる完璧主義者の部下「イシバシくん」をどう導くのか。プレモータム・シンキングの詳細は、現在発売中の『先にしくじる』に収録しています。

 部下には、プレモータム・シンキングを一人でやらせなくてもいい。あなたが、それとなく導けばいいのだ。自分の恐怖や不安を自分で客観視できれば、今やるべきことと目指すべき成功のゴールが見えてくる。そして、自分の足で動き始められるはずだ。

 私が、あの時プレモータム・シンキングで彼を導いていれば、イシバシくんはそこそこの質のアウトプットを出せた可能性がある。何よりも「期限」の重要性を知り、手前の時点で「相談」するという仕事の基本を覚えたかもしれない。

 プレモータム・シンキングは、あなたの身を守るだけでなく、可能性のある部下の成長を促すツールにもなるのだ。